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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載102013年3月 6日10時01分

1.在宅利用者は軽度者が7割 生活援助は不可欠

 2012年7月審査分で(6月利用分)では、在宅で介護保険を利用している人が72%(予防給付20%、介護給付50%、小規模多機能居宅介護2%)で、居住系施設が8%(グループホーム4%、特定施設4%)、3施設が20%となっている。

 この在宅要介護者だけの介護度を見ると、要支援1(13%、)要支援2(16%)、要介護1(22%)、要介護2(21%)、要介護3(13%)、要介護4(9%)、要介護5(6%)で、厚生労働省の軽度という要支援~要介護2までが72%を占めている。要介護1でも認知症の自立度がⅡ以上であるか、半年以内に状態の悪化が明らかな心身状態の者で、専門職が定期的に関わることが必要だ。

 また、介護サービス利用高齢者の世帯構成を見ると、要介護2でも、50%以上が独居か二人世帯であり、在宅介護力が乏しいのが実態だ。排泄や入浴困難の前に、ゴミ屋敷やカップラーメンなどが中心の食事等による健康悪化や孤独死の予備軍でもある。生活援助は単なる掃除や洗濯ではなく、体調やリスク管理をすることに介護専門職がサービスに入る意味がある。

2.超高齢要介護者の自助とは援助を活用して日常生活を継続すること

 新政権は「介護は自助を基本」と給付削減を進めようとしている。「消費税と社会保障の一体改革」では、社会保障国民会議で「給付範囲の適正化、サービスの効率化、重点化、保険料負担の増大を抑制しつつ、必要なサービスを確保する」ことが検討課題として挙げられている。

 重度者の切り捨ては命に関わるため、軽度者のサービス切り下げが予測されるが、保険料に反映する給付額は在宅生活を長くし、施設入所を遅らせることができれば、施設整備費も含めて給付額を抑えることができる。軽度者のサービス切りは状態像の悪化を招き、給付の増加に直結する。

 高齢者は持ち家率が高く、「居場所があることの安心」に「介護が必要になってからの生活支援」があることで在宅生活の継続が可能になる。地域や近隣やボランティアの支え合いは、介護保険が利かない認知症者の地域での見守りやゴミ捨て援助、買い物代行などの体制を作り、地域の介護力を作るための前提となる。これらと組み合わせてより長く在宅生活ができるように、在宅で看取りもできるような医療・看護・介護・地域の支え合いの総合的ケアマネジメントが今後のポイントだ。

3.早まる退院に入院時から対応し、在宅生活復帰のケアマネジメントを

 現在、入院患者の58%が70歳以上だ。そのため、後期高齢者医療費は1人年間89万円(他の保険の2~3倍)になっている。

 地域包括ケアのポイントの一つが医療費削減のために入院期間を短縮し、医療保険から介護保険に移行すること。そのために訪問診療は訪問看護の充実が介護給付でも検討されている。

 しかし、訪問診療や訪問看護が毎日導入されても、1~2時間。残りの22時間の排泄や入浴、食事、移動や体位変換や環境の整備は介護の仕事だ。訪問介護の充実がなければ、退院も在宅生活の継続もあり得ない。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への転居は数%で、圧倒的に多くの高齢者は自宅で生活するのだ。この支援を総合的にすることがなく、介護保険で在宅を支えることはできないだろう。新年が訪問介護の革新の年になることに期待する。

日本ケアマネジメント学会 理事
服部万里子

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