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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載132013年4月24日18時18分

生活援助は要介護者の重度化予防で あり、
掃除・洗濯への矮小化は間違い


 介護保険の利用者が開始から3倍になった。また開始以来11年間、2010年度までは黒字である。利用者数は増えても1人当たりの利用額が抑えられているからだ。

 居宅の1人当たりの要介護度別の保険給付額の推移(各年月審査分)を見ると、要介護5は平均給付額が増加し続けており、01年と12年を比較すると給付限度額の40%から59%になっている。これは重度化に伴いサービス利用が増えているためだ。

 要介護2~4の年度ごとの給付額推移を見ると、1回目の介護保険制度改定の06年を境に給付額が下がっている。ただその後給付は緩やかに増加し、限度額に対する利用率は要介護4で39%から57%へ、要介護3は40%から53%へ、要介護2は39.5%から53.9%へと、11年の間に1人あたりの月の給付額が10%ほどアップしている。一方要介護1は微増だが、要支援は限度額の6割から5割へと給付額が下がっている。

 1.要支援は通所と訪問介護別の限度額があり、必要でも増やせない  

 この要支援の利用額の低下を「利用が必要ないから半分も利用されていない」と机上で分析し、「限度額を下げる」との意見があるが、とんでもない認識の誤りだ。

 06年の制度改定で、要支援の通所と訪問介護の報酬設定は介護度別の限度額の枠に、さらに通所枠、訪問介護枠が設けられた。

 そのため、脳梗塞の後遺症で通院でリハビリを受けているため、通所サービスは利用しないが、片まひで調理や掃除ができないため、訪問介護のサービス量が不足し自費で掃除を依頼しているケースがある。

 また、老衰と脊柱間狭窄のため痛みで外出できないうつ病の人が、通所に出ることで引きこもりが解消でき、機能訓練や入浴を受け維持できている。訪問介護は必要なくても通所介護の回数を増やすことができないのだ。

 この2事例とも要支援の限度額の半分は使用しておらず、自費サービスを利用しているのが現実だ。表面的には半分しか利用していないように見えるが、枠が新たにできたために、限度額が余っていても必要なサービスが利用できないのが実態なのだ。

 2.軽度者の脱水、肺炎、誤嚥、転倒骨折を予防しているヘルパーの在宅支援 

 ヘルパーは掃除や洗濯や調理だけをするなら、クリーニングや配食サービスで代替することができる。しかし実際には、冬季の乾燥のために脱水症状を起こさないような配慮、転倒しないような移動の工夫や道具の利用、肺炎やノロウイルスなどの感染予防の具体化など、日々の環境変化に即した、体調や生活のリスクの予防など、介護専門職としてきめ細かい体調管理を日々行い、発見した悪化の予兆に取り組み、在宅生活全体の安心・安全を確保しているのだ。 軽度でも85歳を過ぎると小さな出来事が状態の悪化に繋がり、在宅生活が困難になる。

 これに取り組むヘルパーを軽視することは利用者の状態悪化につながることになる。軽度者のサービス抑制は、多くの要介護高齢者の負担を増やし、介護保険の給付増にもなる。安易な抑制策は見直しが必要だろう

日本ケアマネジメント学会 理事 
服部万里子

  • 介護保険と在宅介護のゆくえ⑬.JPG













  • 居宅受給者1人あたり平均給付額
    (各年4月審査分)

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