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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載152013年6月19日23時52分

軽度者の給付外化は重度化を招く

■机上の財源論で介護保険制度を変えてはいけない
 
 4月22日に社会保障制度改革国民会議が「介護保険の効率化・重点化」の具体策を出した。「軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付範囲を適正化すべきという内容。具体的には、保険給付から地域包括ケア計画と一体となった事業に移行し、ボランティア、NPOなどを活用し柔軟・効率的に実施すべき」というものだ。
 

 これを受け、マスメディアが「要支援は介護保険から外される」と報道したため、国民に不安を与えている。この提案は介護保険の利用者が制度開始時から3倍になり給付額も増え、2025年に団塊の世代が後期高齢者になる時期にはさらに利用者が増加し、介護保険の財源が不足するために、軽度要介護者を外そうというものである。
 

 介護保険導入時には、措置として軽度者も訪問介護や通所介護、特養入所の対象にすらなっていたために、軽度者に「サービスは受けられないが保険料を徴収する」では保険料徴収ができないとの判断で「生活支援が必要=要支援」という認定を設定していた。
 

 それが1回目の制度改正で「要介護1の要支援2への移行」を決め、要支援は限度額を2~4割減額した。今回は介護給付から外そうというのだ。要支援者は今年1月段階で居宅の介護保険利用者の27%を占めている。机上の計算では、総量を減らせば給付額が減り、介護保険は安泰だと計算したのだろうか。要支援者の状態が変わらないにもかかわらず、机上の財源論から介護保険制度を変えることで、国民が振り回されることを安易にしてはならないと考える。
 
■見守り、配食は介護保険の対象外 

 社会保障国民会議で挙げられている「見守り、配食サービス」はいずれも、もともと介護保険給付の対象外。介護保険給付の削減でこれをいうのは場違いだ。
 

 要支援者は要介護4や5に比べて独居ができるために、訪問介護が利用サービスのトップで、次いで通所介護サービスが利用されている。訪問介護サービスでは掃除や買い物、料理、洗濯が主に提供されているが、専門の介護職は、単なる生活援助を提供しているのではない。訪問し、利用者の心身の状態や生活の状況を捉え、脱水や転倒の予防、感染症や低栄養への予防・対策、服薬管理などを行い、相談に乗り、情報を提供している。また、「嚥下の訓練が必要」「風邪をこじらせないように」など、日常生活の安全管理も含めて提供しているのが実態だ。
 

 それを宅配や通販で買い物を済ませ、食事は業者が届けるなどで対応するのは意味が違う。専門職が定期的に生活全体を捉えて支援することがなくなれば、生活や身体機能が悪化することは目に見えている。さらに介護保険財源のさらなる悪化を招くと筆者は考える。在宅の要支援者の介護保険利用の実態をみるべきだろう。
 
■安易なサービスあてはめは生活実態に合わない
 
 一概にはいえないが、地域包括支援センターが予防給付のマネジメントをするようになり、それ以前は毎月訪問モニタリングをしていたものが、3カ月に1回に変更になった。要支援といっても年齢は高く、脳梗塞や加齢による衰弱、転倒骨折などにより生活支援が必要であると保険者(市町村)が認定をした人なのだ。
 

 3カ月に1回のモニタリングでは状態把握が十分とは言えない。昨今のような気象の急激な変化に体調がコントロールできない人が高齢の認定者に続出している。要支援者にサービスをあてはめることしかしていない予防プラン作成者には、要支援者の生活全体が見えているだろうか。「いらないサービス利用者」などと断定する人が、要支援者の生活実態を捉えているかも疑問である。
 

 まず、要支援の人の意向と生活実態を明らかにすることが先決だろう。当事者の声を挙げていく必要があると考える。

日本ケアマネジメント学会 理事 
服部万里子 

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