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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載162013年7月25日20時36分

軽度要介護者を介護保険から外す前に、在宅重視で給付を抑えよう

■来年4月から消費税が上がり、医療費がアップする

 参議院選挙後の8月には「社会保障制度改革国民会議」が社会保障と税の一体改革として介護保険給付の抑制を具体化する動向である。来年4月から消費税が3%上がり、医療報酬では「初診料・再診料、入院基本料」等のアップが見込まれている。  

 病医院の経営では消費税アップに対応し、診療報酬単価が上がるが、消費税アップの影響を受けるのは介護保険事業も同様である。介護保険事業者にとり、通所やショートステイ、入所、小規模多機能、認知症グループホームなどでは、食事材料費や人材派遣会社から介護・看護職の確保をしている場合には消費税のアップが事業費用のアップに直結する。消費税のアップ分を利用者の自己負担につながないで、経営が成り立つ状況にはない。

 介護保険の利用者は通院や訪問診療を必要とするため、医療費アップは生活に影響する。加えて介護サービスの自費アップは利用者の生活に直接影響を与える。それに追い打ちをかけるように、再来年には「介護保険法」の改正が予定されている。

■軽度要介護者は介護保険利用者の27%

 介護保険利用者数が増えているのは、日本の高齢化が加速度的に進み、後期高齢者人口が急増しているからである。

 特に要支援者は独居率が高く、自助努力と介護保険サービスと地域の支援を活用し、生活を継続している。介護保険から外したり、予防通所サービスを介護状態の改善を達成した人に限定するなどの利用抑制は、医療費に加え、さらなる自己負担増加につながり、生活継続を危うくし、体調の悪化を招き、生活保護を増やす。市町村に付けがまわるのは明らかである。

■要介護認定で要支援に移行する人が増えている?

 最近各地でケアマネジャーから「認定更新で要介護から要支援になる人が多い」との声を聴く。要介護認定の基準が変わらないにもかかわらず、なぜだろうか?これは認定基準の問題ではなく、保険者である市町村の要介護認定の「適正化」が行われているのではないかと考える。具体的には認定審査会の審議場面における市町村職員の意見具申としてジワジワと認定論議に影響を与えているのではないかと思われる。厚生労働省は平成21年5月に「介護給付削減の内部検討」として「要介護認定の変更率を10%削減すれば84億円介護給付が削減できる」という試算をしている。

 ケアマネジャーは訪問調査や主治医の意見書を受け取れる唯一の職種である。認定内容の精査を行い、妥当性に欠ける場合に「区分変更」などの検討が必要であろう。

■在宅の介護保険利用を増やせば、介護給付は削減できる 国は在宅困難者をサービス付き

 高齢者向け住宅や特定施設で対応することで、施設待機者を減らし、軽度要介護者の介護保険給付を削減しようとしている。サービス付き高齢者向け住宅の入所者の83%は介護保険サービスの受給者というのが現実である。

 介護保険の利用者は7割が女性で、7割は軽度要介護者である。75歳以上が87%である。高齢者の死亡は重度要介護者から亡くなっている現状ではない。サービスを抑制することで脱水や転倒、低栄養や必要な通院や投薬が受けられない人が増えることは明らかである。

 要支援者の介護保険給付額は最近4年間平均で要支援1が月に2万4700円、要支援2が4万4000円である。介護保険から外して、市町村財源でこの額で在宅生活継続ができることは考えられない。悪化して施設待機者や入院患者が増えれば負担は増す。より長く在宅で暮らす支援ができれば介護給付は抑えられ、当事者の希望も叶う。

日本ケアマネジメント学会 理事 
服部万里子 .

  • 介護保険と在宅介護のゆくえ⑯.bmp
  • 出典:厚生労働省平成22年度国民生活基礎調査 (クリックで拡大)

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