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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載182013年10月22日18時45分

要支援者の保険外し世帯340万円の2割負担は悪化を招き、給付増加に繋がる―在宅生活継続支援を

■在宅利用者の27%は要支援者・・・100万余は自費サービスか

 介護保険の利用者の7割が在宅でサービスを利用しており、要支援は27%である。この100万を超える保険利用者を保険から外すのは暴挙と言わざるを得ない。市町村にはボランティアやNPOを起こせと言うが、これは自発的・自立的なもので制度の受け皿や下支えではない。

 厚生労働省は2025年までに要介護認定者を3%減少させるとしているが、介護保険の認定者は75歳以上が78%、85歳以上が約半数であり、脳梗塞・認知症に次ぐ、認定の3番目は老衰である。長寿化に伴う要介護認定者の増加を抑えれば認定を厳しくする等のゆがみをもたらす。

 また給付を削減する最適方法は、より長く在宅生活を継続することにあり、机上の計算で要支援のわずか全体給付の5%を削り(実質は地域支援事業で対応すれば5%削減にもならない)自費サービスで対応する事が社会的介護なのか?

■国の論点の誤り

①受給者や介護給付費の要支援の伸びが要介護より大きい

 要介護1を状態変化がないのに要支援2に変更したので、人数が増えるのは当然であり、給付額は人数増によるものである。1人当たり利用額は要支援は、18年3月3万600円、20年3月2万4,400円、24年3月2万4,700円である。要支援2も、19年3月4万3,500円、20年3月4万4,000円、21年3月4万4,300円、22年3月4万4,300円、23年3月4万4,000円、24年3月4万4,400円と、限度額の半分も使っていない。より長く在宅をできるようにすれば、保険給付は抑えられるのである。

②支援は生活援助サービスが多い

 家族が同居していれば『生活援助』サービス利用は認められていない。要支援は独居率が4割程度と高く、生活援助の利用が多いのは当然である。しかし、06年4月以降は生活援助も身体介護に合わせ、月の定額報酬になっている。

 特に時間が短くなると、従来ヘルパーと同行で買物に行っていたり、ヘルパーと共に調理をしていた利用者が時間短縮のために、ヘルパーによる単独買い物や、調理にプランを変更せざるをえなくなる等、自立支援に逆行する事態は国のヘルパー時間短縮政策がもたらした弊害である。

③生活援助利用者の悪化度が、身体介護利用者の悪化度より高い

 身体介護のデータが28件(生活援助は509件)であり、論拠にならない。ヘルパーなどの専門職が在宅に入ることにより、脱水や感染症、誤嚥や体調変化に気づくことが悪化予防に繋がっているのであり、そのヘルパーを外して弁当配達や宅配で買物に変えれば悪化は免れないのである。

■2割負担世帯年収340万は高額者か?

 厚生労働省が8月31日に発表した「労働経済白書」では、2人世帯で年収300万円未満を『低所得者』としている。介護保険の世帯収入340万は『高額所得者』として2割負担にすることは妥当か?高額所得は500万以上などと言えると思うが、この基準は今後大きな問題をもたらす。現在の介護保険の利用者は7割女性で、昭和1桁くらいでは職業婦人として自分の厚生年金や共済年金を受給している人は少なく、国民年金か遺族年金である。高齢者世帯平均300万余で所得額は低いが、毎年団塊の世代が高齢者に入り、自分の年金を持つようになり高齢者世帯の所得は増加傾向にあるが、現在のサービス利用者の実態はそうではない。2割負担になり自己負担が2倍になれば、自費支払いが負担になりサービスを減らすことになるが、それが高齢期の健康や生活維持に繋がるとは考えにくい。高額所得の見直しが必要である。

<シルバー産業新聞 2013年9月10日号>

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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