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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載242014年3月24日08時00分

介護保険の見直しが貧困の連鎖にならないか、

目先にとらわれず現実に向き合おう

1.目前の診療報酬・介護報酬改定の動向

 4月からの医療費の報酬改定は、初診料が120円アップ(2,820円へ)、再診料30円アップ(720円へ)となり、入院基本料も上がる。後期高齢者の年平均受診率が98%であることをふまえると、医療費アップは高齢者の財布に影響を与える。加えて、介護保険利用者は介護報酬もアップすることで、食費や生活必需品の支出増加を合わせて生活に影響を与えることは必至だ。国民年金は保険料が210円アップし、毎月1万5,250円になり、協会健保も介護保険料が0.17%アップし、労使折半で平均年額6,882円増になる。

 その上、4月からは受け取る国民年金が満額受給で475円下がり6万4,400円になる。同様に厚生年金は、夫婦2人モデルで1,666円下がり、22万6,925円になる。

 このような状況下で、生活保護受給者は過去最高を更新し全国で216万人になり、そのうち65歳以上の高齢者は45%を占める。

 子どもの貧困が教育格差につながり、就労格差から貧困の連鎖を生むことは広く知られているが、介護の貧困も、貧困の連鎖を生む危険があると考える。

2.介護保険改正がもたらす介護の貧困

 要支援のサービス利用の6割が、介護保険の予防給付から市町村事業へ移行する方向となっている。この延べ90万人に共通することは自費が増えること、サービスのバラつき、無資格者によるサービスの拡大だろう。もちろん、近隣住民やボランティアに支えられる地域支援は大切で増やすことが必要だ。しかし、30分の生活援助が500円の自己負担として、介護予防訪問介護の1.5時間相当の場合は1,500円となり、週2回の場合には月に1万円を超え、年金生活者に影響を与えることが予測される。

 また、施設入所が要介護3以上に限定された場合に、現在の施設待機者42万人の中で、要介護1、2は13.2万人で31.2%、そのうち、在宅にいる待機者は7.7万人(18.2%)だ。もともとお金があれば有料老人ホーム等に入れる。これらが待機できないとなると介護負担が家族にかかってくる。行き場がない待機者への対応が必須だ。虐待や介護放棄が危惧される。

3.介護負担がもたらす介護の貧困の連鎖

 また、労働政策研究・研修機構の調査では、働きながら家族の介護をしている人の介護休暇取得率が1.5%で、4人に1人が介護をきっかけに退職や転職している。退職に伴い、経済的には苦しくなる。そして介護が終わり再就職しようとすると、今度は中高年者の再就職では正規雇用になれない割合が多く、生活の困窮が続く。これらが高齢期の貧困につながる。

 厚生労働省の「働く女性の実態調査2012年」では15歳以上で家族を介護している人は20年間で約2倍になり、そのうち6割が女性で、3割が被雇用者だ。「日常生活の悩みやストレス」を抱える人は6割で、内容は「家族の病気や介護」が女性では約75%にのぼる。社会を支える仕組みである介護保険を絞れば絞るほど、隙間から弱者がこぼれる。都会の高齢者の飢死や凍死は介護の隙間で起きる。

 要支援になる理由で最も多いのは関節疾患、2番目は老衰だ。熱中症や転倒骨折、肺炎等で入院すれば、重度の要介護者が増え、医療費も介護費用も増加につながる。専門職が入ることで入院リスクを予防するなど、きめ細かいケア体制が望まれる。

<シルバー産業新聞 2014年3月10日号>

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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