ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載332015年1月20日15時23分

介護保険は利用者負担アップ、サービス削減

報酬改定は基準を緩和し、報酬は減算

1.福祉用具単体のケアプラン減額はケアマネジメントの現実を反映していない

 福祉用具貸与のみのケアプランの報酬が減額され、プラン件数も2件で1件の換算になる。福祉用具貸与だけが給付管理の対象になるケアマネジメントは質が低いのだろうか。ケアマネジメントの手間がないのだろうか。

 要介護5の高齢者で、以前は通所介護やショートステイを利用していたが、8~9年が経過し、体調変化が頻回なため利用できなくなった方がいる。在宅ターミナルの最終ステージでは家族がついて、訪問診療や居宅療養管理指導の歯科衛生士、訪問看護が医療保険で頻回に入り、近隣の人が往診や訪問看護の車の駐車場を提供した。ボランティアが処方箋を取りに診療所に行き、薬局から薬を受け取り自宅に運び、布団しか受け付けない本人に褥そう予防具として、エアマット→高反発マットレス→合成ゴム素材のマットレスと3回変更し、体位変換を行って9年間の在宅介護を終えたケースもある。

 ケアプランは福祉用具貸与だけでも、ケアマネジャーは介護者を支え、福祉用具を必要に応じて交換し、おむつ代の申請を行い、近隣への働きかけや社会福祉協議会のボランティア導入などの対応を行うのは当然だ。導入したサービスの数だけでケアマネジメントの質を測るのは妥当ではない。給付管理に反映されないケアマネジャーの関わりが、常にあることを理解してほしいと思う。

 わずか3%しかしない「福祉用具単体プラン」に減算を導入し、「もう1つサービスを入れれば良いのか」とケアマネジャーを追い込むことが、介護保険のあるべき姿かどうか疑問だ。

2.ケアマネジメントは14年間赤字でも報酬放置は妥当か?

 厚生労働省の介護サービス経営実態調査で、当初から一貫して赤字経営が続く居宅介護支援事業所の基本単価を放置していること自体が問題だ。経営のためにサービス事業所に雇用され、サービス併設で生活を成り立たせることを誘導して、ケアマネジメントの公平中立性が確保できるか疑問である。

 今回は特定事業所加算Ⅲが新設され、複数の主任介護支援専門員、ケアマネ実習生の受け入れなどの要件は、大規模事業所にとって有利になる。重度者中心への転換を進めるためとは言いながら、またショートステイで居室以外の「静養室」への入所が「ケアマネジャーが緊急やむを得ないと認めた場合」に受け入れ可能となる。これは居宅介護支援事業所の9割がサービス事業所に併設されている現実や、期間も限定せず静養室に入所されることを状態化させる危険があり、妥当とは思えない。市町村が「緊急ショートステイ」を配置している意味がない。

3.15年度報酬改定は運営基準緩和で事業所誘導し、報酬は減算方向

 報酬改定の議論は佳境に入った。厚労省は12月末まで、居宅サービス等の運営基準の見直しについて、パブリックコメントを募集している。今回の報酬改定の特徴は以下の点であるが、介護職員処遇改善加算はアップされるので、報酬は減額になる方向だ。

 ①報酬を上げずに、運営基準緩和と強化で事業所の誘導が行われる

 訪問介護のサービス提供責任者が50人ごとの配置になるが、2級ヘルパーによるサービス提供責任者は3割減算で、実質できなくなる。ケアマネジメントは運営基準で「地域ケア会議へ指示された事例の提出」が記載され、居宅介護支援事業所の指定が都道府県から保険者である市町村へ移行される(2018年)ことと合わせて、規制が強化される。

 ②重度者報酬重視で軽度者の報酬減額

 病院からの退院を促進し、医療費を削減し介護保険へ移行するため、リハビリや看護は重視し、医療ニーズや重度者対応が評価され、介護はパッケージサービスへの誘導が行われる。パッケージサービスは、利用者のニーズに即して小規模多機能も、複合型サービスも選択肢の一つだ。しかし、登録定員が29人に広がり、事業所がケアプランを作成し、在宅支援より住宅併設で抱え込みが広がる危険もある。

 ③認知症対応が重視される

 施設・入院から在宅へ認知症ケアを移行し給付削減する方向だ。グループホームは3ユニットが容認され、夜勤加算やターミナルケア加算がアップし、グループホームのデイサービスがユニット単位で3人に拡大する。また、認知症対応型デイサービスは30分の居宅内介護を認める方向で、送迎時の着替えや移動援助、送迎後の着替えやベッド移動などが通所時間に加えられる方向だ。これ自体は在宅利用者は助かるが、訪問介護はサービス減になる。

 ④同一建物減算を強化

 訪問系サービスでは、送迎減算や1割減算より厳しく、経営が別でも事業所と同一建物の利用者が減算される。サービス付き高齢者向け住宅は、施設入所を減らす切り札として誘導されたが、早くもはしごが外される方向だ。
 
4.ケアマネジャーは利用者の不安に向き合い、在宅支援をしよう

 給付を削減するためには在宅の継続が基本だ。高齢者住宅や有料老人ホームは選択肢の1つだが、自宅は利用者の居場所で家賃がかからない。ケアマネジャーは介護者支援や多様な地域のサービスも工夫して利用者支援を強化していこう。制度改正で不安をかかえる利用者への支援が求められている。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

「介護保険と在宅介護のゆくえ」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 【お知らせ】電子版「シルバー産業新聞」
  • シルバー産業新聞申し込み
  • ハンドブック申し込み
  • SSL グローバルサインのサイトシール