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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載362015年7月28日15時30分

サービスの包括単価への統合は高齢者福祉の選択性を狭める

1.要支援サービス事業所は地域支援に移行するのも不安、残るのも地獄

 2015年度の介護報酬の1つの特徴は、要支援の2つのサービスを地域資源活用へと移行させることである。移行は2種のサービスだが、対象は要支援サービス利用者の85%にあたる。移行の目的は認定者を減らし、介護給付を削減することである。そのために、予防通所は▲20~22%、予防通所リハビリは▲23.8~35.6%、予防特定施設入所者生活介護は▲32.5%(要支援2)と大幅減額である。

 予防給付に残っても、これだけ報酬が下がれば経営が困難で、総合事業へ移行しても新たな単価や条件が未確定で不安がある。訪問介護の3割、通所介護の2割を占める要支援者を失えばサービス事業所は経営が苦しくなる。大手の訪問介護事業所は家政婦の領域を家事援助などに限定し、リタイアした高齢者など新たな介護職を獲得し総合事業への取り組みを具体化しているところもある。総合支援と自費サービスのパッケージ化である。

2.小規模事業所はみなし指定と緩和したサービス、住民参加型との連携を

 要支援者と認定前の二次予防対象者の人数は今後増えていく。総合事業は訪問介護には無資格者の緩和したサービスにも、介護保険の財源を活用することができる。緩やかに地域から家事援助に向き合う人材を確保し、専門的介護職に育成していく取り組みができるのは、在宅介護の経験とノウハウを持つ訪問介護事業所の新たな方向であろう。

 また、通所介護事業所が休みの日に「認知症カフェ」の開催や、「生き生き体操グループ」を通所介護の開始前の時間帯に開催するなど、ノウハウと場所を活かした活動に総合支援の委託費を導入し、地域の元気な高齢者のグループ活動を育成するなどのチャレンジが考えられる。その際のキーワードは、元気老人の参加と活躍の場を作ることであろう。小規模事業所は地域との連携力を発揮した総合支援事業への参入が課題である。

 地域の小規模な事業所を、大規模事業所や包括単価のサービス事業所へ統合する流れが作られた。しかし、地域の特性、人的サービスの特性は、経営の効率化だけで進むと利用者の選択性が狭められる。小規模事業所は生き残りをかけて新たな事業化に取り組もう。

3.軽度者の悪化を防止するために、新たな予防ケアマネジメントを作ろう

 総合事業へ移行する際に、要介護認定を受けずに「チェックリスト」だけで「地域支援サービス対象者」を選定することが推奨されているが、これは妥当ではない。認定を受けなければ住宅改修や福祉用具の利用もできない。また、アセスメントでは主治医の意見書が重要な情報である。血圧や糖尿病、心臓病や関節疾患など自己申告だけでアセスメントを済ますのは危険である。

 特に地域包括支援センターによる総合事業の介護予防ケアマネジメントは、①原則的予防ケアマネジメント②サービス担当者会議やモニタリングを省略した簡略化した予防ケアマネジメント③初回のみの予防ケアマネジメント――の3種になる。地域包括支援センターの新たな業務からすると②や③になることが想定できる。さらに介護予防手帳(母子手帳の介護版)によるセルフケアマネジメントに移行させるのが国の方向性である。ケアマネジャーのアセスメントや情報収集力を生かし、悪化リスクを抽出し、防止していく予防のマネジメントの質が求められる。ケアマネジャーには新たな挑戦を促したい。

4.ケアマネジメントの分散化に危惧

 15年度報酬改定の特徴に、通所介護の生活相談員が利用者宅を訪問し、近隣と連携する、訪問リハビリに加えて通所リハビリのPTやOTが在宅を訪問し、ヘルパーと連携する事に加算が付き、通所リハビリが利用者、家族、ケアマネジャー、サービス事業所が参加するカンファレンスをすることにリハビリマネジメント加算が新設された。

 小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に「ケアマネジャー・看護職・介護職等が協働し介護計画を見直し、地域の病医院、老健に情報提供、利用者の地域活動のため、住民との交流や地域行事へ参加」する総合マネジメント加算が新設され高い報酬がついた。ケアマネジメントが分散化されたのである。その開催者はケアマネジャーではない。ケアマネジャーの参加に報酬はない。ケアマネジャーは今まで以上に利用者の生活全体、介護者への支援、保険外のインフォーマルサービスの活用など、ケアマネジメント力が求められるのである。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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