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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載422016年8月 4日07時15分

次回制度・報酬改定の動向に注目し、利用者・介護現場の声を上げよう

1.介護保険制度が変わり現場に求められる制度を支える役割 

 介護現場は15年8月からの2割負担と、ショートステイの家賃と食費の減額申請に追われている。預貯金通帳やタンス現金まで申告させ、調査に同意の印鑑を押すことに抵抗を感じる高齢者も多く、独居など申請できない高齢者への手続き支援が施設の相談員や居宅のケアマネジャーに求められている。

 今後は介護保険証と介護保険負担割合証の2種がないと介護保険利用ができなくなり、確定申告をしている場合等では年の途中の変更が考えられる。また、4月からの減額報酬に対して、サービス事業者が次々と加算を取得しているため、その分のサービス利用票の改変や利用者への説明、9月初旬の給付管理業務の複雑さはケアマネジャーの負担を増している。残業が増えれば居宅の経営は圧迫される。このような目に見えにくいが必須の業務により、介護保険が支えられているのである。

2.次回報酬改訂にむけ活発化する制度改訂の注目しょう 

 現場が改定対応に追われているこの間、5月に「医療保険制度改革法」が国保改革含め一括法が成立した。入院の食事代は来年と3年目に2回アップし、後期高齢者の保険料の軽減特例が廃止され健康保険料がアップする。

 6月には国の「財政健全化計画」が作成され、①軽度者の生活援助、福祉用具、住宅改修は原則自費②軽度者向けサービスは地域支援事業へ移行――が示された。この「軽度」は「要支援~要介護2」までを言う。さらに今回は月20万円を目安に2割負担が導入されたが、これをさらに下げて2割負担の対象拡大も示されている。

 7月には「社会福祉法改正」が衆院通過し、特養ホーム等の地域公益活動の責務化や社会福祉法人の指導監督強化が法制化へ。8月5日には衆議院厚生労働委員会で「地域医療連携推進法人」の医療法改正が行われた。地域医療構想の構想区域で「非営利ホールディング・カンパニー型法人制度」を創設し、医療・介護の各種サービスを非営利法人が統合し事業を展開する制度化が行われた。

 2025年以降の地域包括ケアは、経営統合を進め病院・施設・在宅・住宅などのサービスをホールディングとしてまとめて経営する方向である。目的は経営の効率化であり、小さな事業所は淘汰され、利用者はサービスの選択性が奪われるのである。介護の社会化をうたい、老後の安心を約束した介護保険が、高齢化に伴う利用者増加を理由に、サービス抑制、自費の増加、給付の削減に走ることで、利用者も事業者も追い込まれるのである。

 来年2月から早くも次の介護保険・医療保険同時改定に向け制度・報酬を見直す社会保障審議会の議論が本格化する。

 「エビデンスを出して報酬の根拠を示せ」と、国は事業者に要求しているが、「介護予防事業」に多額の金と人を投入し、「要介護認定者を減らすことができなかった」この施策の反省は誰がしているのか?日本人の平均寿命が延び、女性は86.83歳、男性も80歳を超え、WHOが提案した「健康寿命」では、日本は男女共に世界一になった。これがエビデンスだ。医療・介護の現場の支援なくして、健康寿命を世界一にすることはできない。

3.介護の現場から利用者・介護者を代弁し、介護保険の改悪を阻止しよう

 病院からの退院の受け皿、在宅困難者の受け皿として、サービス付き高齢者向け住宅への補助金を1戸100万円から、「拠点型サ高住」にさらに上乗せする予算要求が国土交通省から出され、首都からの移住促進も進める方向である。大手損害保険会社では「サ高住滞納家賃の補償保険」を開始し、独居者に身元引受人の紹介サービスも始めた。少子化が進み、空家が増えている中で、ビジネスとしてサ高住を誘導することより、もっと自宅で介護生活を継続することができるようにすることが先決だと思う。それは高齢者の希望でもあり、自宅では役割があり、家賃を払わない分、高齢期の生活のQOLにお金を使うことができる。次の制度改定では、利用者、家族、介護現場の声を国の政策に反映させよう。

日本ケアマネジメント学会 理事

服部万里子

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