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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載62012年9月20日20時32分

社会保障・税一体改革で来年度に介護保険法改正予定

1.制度、報酬改定で明るさ見えない

 介護保険法改正と報酬改定が一段落したが、在宅介護では訪問介護や通所介護の事業所の経営が厳しくなり、目玉の定期巡回・随時対応型訪問介護看護は7月末で14事業所のみで、連携型が47となっている。医療との連携は、今後具体化されていくが、地域の受け皿が課題だろう。

 そのような現状で、介護保険に関しては新たな見直しが行われる方向だ。ケアマネジメントに関しては3月から質の向上とあり方委員会が開催され、ケアマネのあり方の見直しが行われる方向となっている。

 また、認知症ケアに関しては6月に「今後の認知症施策の方向性」が出された。内容は認知症が「施設や精神病院を利用せざるをえない」という考えを改め、適正化の方向として、入院や施設から在宅に戻すという「ケアの流れを変える」ことが提案されている。そして、地域包括支援センター等に「認知初期集中支援チーム」を作り、認知症の診断に基づいて在宅でのケアの具体化を行い、環境改善や服薬管理を指導し、介護が必要になる前に「集中支援」をするという内容となっている。

 しかし、集中支援が家族への指導以外にどのように展開されるかは未確定だ。認知症に対する地域の理解は広がっており、地域における緩やかな見守り等は必要な支援だろう。また、「住み慣れた地域で暮らし続ける」こと自体は誰もが希望しているのが実態だ。しかし、独居が多く、また老老世帯が増加する現状で、介護サービスの利用の前に対応することで「介護サービス利用が減らせる」ことや「入院、入所」が減るとは考えにくく、有料老人ホームが増える一方で、行き場がない認知症を増やしてはならないと思う。

2.来年度の介護保険法改正動向

 消費税率が2014年に5%から8%へ上がり、翌15年には10%に上がることが決まった。これに合わせて社会保障8法が改正された。基本的な考えは、「自助・共助・公助のバランスをとること」が1つ。「年金、医療、介護は社会保険制度で対応し、公費負担の主要な財源は消費税とする」ことで、1年以内に社会保障国民会議が審議し、生活保護や後期高齢者医療の見直しと合わせて、介護保険法が見直しされる方向となっている。

 その内容として「給付範囲の適正化」では、生活援助が矢面に立つだろう。しかし、在宅の介護保険利用者の71%は要支援から要介護2までの人たちだ。しかもこれらは、独居や老老世帯が多い。2010年度国民生活基礎調査では要支援者は独居が約4割で、核家族と併せて67%にのぼっている。

 軽度要介護者は一人暮らしができるが、台所に立ち調理したり、風呂やトイレが掃除できないことから在宅生活が困難になるのだ。重度者は独居が少なく、同居家族がいれば生活援助は認められないために「軽度者に生活援助が多く利用されている」ことは当然なのだ。これを「不適切」として切り捨てれば、在宅困難者が増えてくる。まず在宅の地域からの支援体制を作ることが先決だろう。自助が強調され「自立支援」の名の下に、軽度要介護者へのサービス抑制や介護保険対象から外すことは、重度化促進になりかねない。

日本ケアマネジメント学会 理事 服部万里子

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