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介護保険と在宅介護のゆくえ
介護保険と在宅介護のゆくえ 連載72012年11月 8日18時14分

介護給付抑制と本人の能力に応じた自立支援の相克

1.生活保護の適正化検討始まる

 厚生労働省の社会保障審議会で、生活保護の適正化方策案がだされた。その内容は、▽扶養困難に関して家族に説明義務を課すこと▽保護費の支出状況の調査権限を福祉事務所に与える▽低収入、短時間でも、まず就労することを基本にする▽福祉事務所が健診結果を入手できるようにし、健康状態を確認すること▽医療扶助にセカンドオピニオンを導入する――など。これは来年度に生活保護の生活支援戦略として、法制化する方向だ。

 経済の停滞、非正規雇用の拡大、生活保護受給者が211万人を超える状況で、社会保障給費の抑制は必要だが、支援と抑制の狭間でソーシャルワーカーの相談援助と、それを支援する地域の貧困者支援の活動が一体的に行われないと、餓死や孤独死の増加に結びつかないか心配があるとの指摘もある。

2.介護保険の給付抑制とケアマネジメント

 介護保険でも、給付の効率化、適正化として、まとめて住まわせて給付を効率化することや、軽度者の支援を切り捨てることが検討されているが、それでは、要介護者の「持つ能力を生かした自立した生活支援」とはいえない。その人を取り巻く環境を分析し、近隣や遠方の家族や友人の支援が得られるか否か、その人のできること、できないこと、心身の状況を分析し、道具や訓練をすればできることなどを、見極めることに専門的なケアマネジメントが展開されなければならない。

 本人ができないから「お願いします」と言うことを、「そうですね。誰かにしてもらいましょう」と優しく代行することが最適援助かという見極めが大切だ。本人の力を引き出すことをあきらめ、誰かにしてもらうことで一生できない状況を固定化することが妥当とはいえない。本人のできる可能性を見極め、それを引き出す工夫をすることで、短期目標を実現し、段階的にできることを増やしていく事が求められている。その気になってもらう工夫、自分ですることの意義と、自分の生活を取り戻すことの良さを実感してもらうための工夫も求められる。ケアマネジャーの既存の知識では判断できないことは、専門職と意見交換し、アセスメント内容を深めることがケアマネジャーの責任だと思う。

 減算されないように努力するのではなく、利用者が要介護になってからの生活を自身のものとして作り出すために、専門職が関わる意味がある。

3.医療と連携した悪化防止、在宅復帰支援を

 高齢者は骨折や脳血管疾患など様々な原因で、要介護状態になる。また、脱水や肺炎などで入院治療を余儀なくされると、それをきっかけに在宅生活が困難になる人が増えている。病院は疾患を治療する場所であり、安静にしている間に心肺機能が低下し、歩行機能や嚥下機能や排泄機能が低下する。在宅を入院当初から意識し、在宅に戻るために医療機関の持つ機能を生かすよう働きかけることに、ケアマネジャーの在宅復帰支援が試されている。

 ケアマネジメントの在宅支援力とそのための連携力をフルに発揮し、医療や看護やリハビリや福祉用具、介護の力を効果的に組み入れるケアプランが、利用者の生活力向上に結びつくのだ。しかし、生身の人間関係の中で「必要なプラン」が通りにくい現状へのコミニヶーション力の育成がなければならない。費用負担を増やしたい利用者はいない。介護負担の軽減も含め、ケアマネジメント力の発揮に期待したいと思う。

 

 日本ケアマネジメント学会 理事 服部万里子

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