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生き活きケア
生き活きケア(105)複合施設「江東園」2016年8月16日08時05分

幼老一体の複合施設 心を育てる世代間交流

s-江東園1.jpg  江東園(東京都江戸川区、嶋田慶三理事長)は、高齢者施設と保育所を併設した福祉の複合施設。地上3階建ての施設の1階は保育所、2階は養護老人ホーム、3階は特養となっており、施設内では世代を超えたふれあいが毎日行われている。季節のイベントには、障がい者、高齢者、園児を含めた全員が参加。世代やハンディキャップの垣根を越えた、健全な地域づくりを目指す。

一日を共に過ごす

 同施設の一日は、子どもと高齢者合同で行うラジオ体操から始まる。園庭に保育所に通う1歳から6歳までの子ども138人と、養護老人ホームと特養の入居者30人余りが集まり、一斉に体操を行う。体操終了後に設けられたスキンシップタイムは、子どもと高齢者が触れ合う時間。終了後はそれぞれの施設に戻るが、養護老人ホームの入居者はそのまま保育所の子どものお世話をすることも多く、おむつ替えや、食事、午睡の面倒まで見る。中には、子どもが好きで一日じゅう保育所で過ごす入居者も。入居者が子どもたちを見てくれるので、職員の負担軽減にもなっているという。

世代間交流のメリット

 入居者の中には、保育所と併設していることを理由に入所する人も多数いる。養護老人ホームに半年前から入所しているKさんも、そのうちの一人。難聴者で、ほとんど耳が聞こえないが、子どもと触れ合うことを生きがいとしており、積極的に面倒を見ている。

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 一方、子どもたちは小さな頃から高齢者と触れ合うことで年長者へ接する態度や、言葉だけではないコミュニケーションの術を自然と身に着けていく。同法人で働く社会福祉主事の杉雄一氏は「世代間交流は、高齢者のいきがいづくりだけでなく、子どもの成長につながっている」と話す。

 子どもたちは毎日の交流を通して年長者から学び、成長していくが、その中で人の死を間近に経験することもある。特養の入居者は、要介護度4から5の重度者がほとんどで、入所して2年から3年ほどで亡くなるケースが多い。同施設では、入居者が亡くなる際に施設内でお別れ会を実施し、子どもたちがお別れの挨拶をする機会を設けている。遺体が施設を出ていくのをみんなで見送る。

 見知った利用者の死は、子どもたちにとって悲しい出来事だが、こうした取り組みがその後の人格形成に影響を与えているという。実際に、同施設で働く職員のうち3人が保育所の卒園者。小さな頃からそうした環境で育ったことで、「お世話になったお年寄りの力になりたい」と、今日も施設内で働く。

交流を促す施設の取組み

 同施設の交流は施設内だけにとどまらず、季節のイベントでは、同法人運営の認知症デイサービスや、障害者支援施設の利用者も参加。クリスマス会で行う劇の催しものは、それぞれの役を決め全員参加で行っている。

 こうしたイベントを成功させるには、職員間の密な連携が不可欠だという。イベント前に行う会議では、それぞれの事業所の職員が集まり、打ち合わせを行う。

 さらに、同施設では、交流時に起こった失敗や成功をまとめたマニュアルが存在し、職員間で共有している。杉氏は、「職員一人ひとりがイベントのプロ。基本はマニュアルを元にイベントを進めているので、準備にそれほど時間がかからない。また、全員で交流の重要性を共有していることも大きい」と説明する。

 同施設から2㎞ほど離れたところで運営する「ケアセンターつばき」では、知的障がい者の施設を2階に、デイサービスを3階に併設し、高齢者と障がい者の交流をはかっている。合同食事会や、クラブ活動を通し、月の半分は、交流の日を設ける。知的障がいには、それぞれ特性があり、コミュニケーションが難しい面もあるが、スタッフ間で個々の特性を理解し、共有をすることで交流をスムーズに行えるようにしている。クラブ活動では、高齢者が障がい者にアドバイスをする様子がみられ、障がい者も比較的落ち着いてコミュニケーションをとっているという。

地域の福祉の拠点を目指す

 江東園では月に2回、特養の入居者、地域のボランティア、近所の人々が交流できる「ふれあい喫茶」を開催。その他、知的障がい者と職員で近隣の小学校などを回る「見守り隊」を結成し、地域の安全に一役買っている。来年度には、保護者世代等、悩み事を気軽に相談できる「多目的カフェ」をオープンする予定。杉氏は、「誰もが気軽に立ち寄れる地域の拠点として、様々な障がいを越えた交流を後押ししていきたい」と話している。

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