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生き活きケア
生き活きケア(72) 介護老人保健施設「石きり」2013年4月 4日13時46分

在宅復帰率5割超達成 
生活環境を考慮し介護家族の支援にも尽力


 介護老人保健施設「石きり」(医療法人興世会、大阪府東大阪市、寺田秀興理事長、藤本一郎施設長)は、本年度実施の介護保険改正に合わせて在宅復帰強化型施設を目指すことになった。昨年12月には6ヵ月平均の在宅復帰率が50%を超えるなど、成果が出始めている。施設利用者はもちろんのこと、実際の生活の場となる自宅を想定し、介護する家族の負担や不安軽減の支援にも取り組む。

病院と在宅の中間施設の実践

 週末には大勢の人で賑わう石切劔箭(いしきりつるぎや)神社の鳥居脇に、介護老人保健施設「石きり」(特別室2室、個室12室、2人室2室、4人室18室)はある。地域に根ざした寺田医院院長が理事長を務める老健施設とあって、地元の信頼も厚い。在宅復帰後も安心して生活を送ることができるように、デイケアや訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、福祉用具貸与・販売、ケアプラン作成など、在宅生活を継続しておくることができるサポート体制も整っている。

 入所者は周辺病院から退院して入所する人が多く、病院と在宅の中間施設として、在宅復帰を目指す老健施設が実践されている。

在宅復帰へ若い人材の活躍

 同施設では、2012年4月に改正された介護保険制度に合わせて、在宅復帰強化型施設を目指すこととなった。昨年10月には組織体制も一新し、施設介護課は壽山心課長(28)、奥野史係長(31)、大津陽介係長(30)らを中心に、若い職員が現場を引っ張るようにした。

 「利用者や施設のために試したいことや、良いと思ったことなど、内容がしっかりしていれば、上司が実践させてくれる」と、3人は仕事のやり甲斐を口にする。

 利用者のためにアロマテラピーや公文学習療法、光療法、摂食嚥下委員会などに取り組むほか、生活リハビリについても、馴染みの介護職が出演するDVDを制作し朝の体操で実施する等のアイデアが導入されている。ほかにも、介護スタッフのために、リハビリ専門職と介護職員と共同で、腰痛予防と安全安楽な介護技術の研修を実施するなど様々。

スタッフ間で自宅環境を共有

 在宅復帰を目指す利用者には自宅を訪問し、生活環境を考慮した上で、その人に合った訓練を実施している。「自宅玄関に急な階段がある利用者の場合、酷な環境であることを前提に階段昇降の訓練等を重点的にリハビリした上で、手すり設置等の住宅改修をし、3カ月後に在宅復帰された例もある」と奥野氏は語り、各職種の連携で、一人ひとり着実に在宅復帰を積み重ねていることを説明する。

 そうした甲斐あって、6カ月間の平均在宅復帰率は12年4月「45・8%」だったものが、同年12月「51・3%」となり、早くも50%を上回るまでなった。「夏場や冬場は在宅での介護が困難になるという理由で施設に入所を希望されるケースもある。季節によっては在宅復帰率の変動が大きいが、中長期的には在宅復帰割合が高まっている」と壽山氏。

 最近の取り組みで、施設利用客と在宅復帰した利用者をスタッフが把握するため、月に2回は各部署の代表が集まり、施設ベッドの流れ(入所・在宅復帰)のミーティングを実施している。在宅復帰した人は、引き続き同法人グループのサービスを利用する事が多く、スタッフ間の連携もこうした取組みで図られるようになる。

在宅復帰へ排泄ケア継続の重要性

 排泄も重要なテーマ。施設内でのオムツ利用者は90人中約20人。「利用者によっては1日に1度は便座に座る排泄トレーニングも実践している。これによって排便が促進される効果もある」と奥野氏。このほどメーカーが新開発した商品の提案を受けて排泄ケアを見直し、2サイズ展開の製品から、7サイズ展開の製品(リブドゥコーポレーション製)に切り替えた。「パッドやサイズが幅広く、その人に合ったサイズとパットの選別をすることで利用者の個別の対応を考えていくきっかけにもなり、スタッフの意識も少しだが変化し、コスト面での効果もあった」と大津氏。

 「排泄がケア時間の多くを占め、時間に追われながらケアをしてきたが、パッドやサイズ、人により最適な製品を使えば、利用者には快適で、我々介護職にとっても時間を作ることができる。できた時間でより良いケアをすることができるようになる」と奥野氏はケア向上にもつながっているという。

 施設内のオムツやパッドを保管している棚には、1枚あたりの単価が記載されており、スタッフのコスト意識にも一役買っている。

 在宅復帰率を高めるには、リハビリテーションで本人の能力を高めてQOLを向上させることと併せて、家で再び迎える家族の介護疲れを軽減する方法を伝える事も重要となる。

 「家族とはいえ、排泄ケアは相当な負担がある。特にオムツ使用者の場合、本人にとってオムツのあて方が良くないと不快で、頻繁に交換が必要となる。家族にとっても負担が増す」と大津氏。

 在宅復帰にあたっては家族へのケア方法の指導が重要だが、排泄ケアについても、施設と同じ製品で、同じような方法で実施できるように指導するという。

地域のケア拠点へ、サービスの一貫性目指す

 在宅復帰を実践・継続してもらうには、家族のレスパイトケアが欠かせない。壽山氏は「今後はショートステイや、短期間の入所の受入れなどで家族のレスパイトを図る事も必要。地域の在宅介護と協力してサポートしていきたい」と語る。

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  • 壽山心さん
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  • 奥野史さん
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  • 大津陽介さん

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