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生き活きケア
生き活きケア(86)北海道南幌町 下がった介護保険料2014年5月22日08時10分

予防事業の活用で認定者抑制

 北海道南幌町は、町の計画で要介護認定者の増加に「抑制」を掲げている。当初は社会的入院が多く、中重度者は施設を利用した結果、介護保険が始まった2000年の保険料は全国で最も高い4,200円。その反省から、在宅サービス利用を進めて施設利用割合を減らす一方、健康寿命の増進に向けて介護予防に注力してきた。第5期保険料は、当初の保険料よりも低い3,917円に抑えられた(表1)。

0512iki3.jpg流れ変えた地域包括の誕生

 地域包括支援センターができ、高齢者介護サービスの窓口を一本化して一人ひとりの介護予防を生活に定着させる取組が、要介護認定者の増加を抑え、保険料を低下させた。

 南幌町(人口8,304人)は札幌市の東30㎞にあり、かつては農家が多かったが、宅地造成が進み、2000年頃まで急速に人口が増えた後、いまは漸減傾向にある。高齢化率は26.1%。道内の市町村は、厳しい冬場と広大な地域環境の中で社会的入院が多く、それが介護保険にも反映し当初は道内の保険料は高かった。南幌町も例外ではない。町内にある各70床の特養と老健などの利用が進み、当初の介護保険料は4,200円(全国平均2,911円)で日本一高くなり、第2期も4,550円(同3,293円)と増えた。

 介護保険が始まる数年前だが、老人医療費ナンバーワンの町として南幌町が、「高齢者が家にいない町」というタイトルでテレビ放映されたという。

 この流れを変えたのは、新予防給付が創設された第3期(06~08年度)。保険料は、4,550円から3,800円に下がり、さらに第4期は3,700円になった。要介護認定率の抑制が効いた。06年から13年間のデータだが、認定率は06年16.5%(認定者数313人)から09年15.6%(311人)まで下がった。13年10月時点で16.9%(366人)に留まっている(各10月1日現在・表2)。

 全道の平均保険料についても、第1期全国6位(3,155円)で高かったのが、第5期には全国42位(4,631円)まで順位を下げている。

買い出しから配膳まで

 取材当日、07年から毎月1回開かれている「男の料理教室」を見た。メニューは、鱈のあったかスープと、ほうれん草のマスタード和え、ささがきゴボウのサラダの3品。管理栄養士の献立にしたがって、自分たちで買い出しし、調理の下ごしらえから配膳まで行う。会計も担い、かかった食材費を参加者で頭割り。この日は、1人250円の負担。
 参加する高齢者は10数人。テーブル(4人)ごとに、ボランティアの女性、管理栄養士、保健師などが付いて、調理などをサポート。13年度の参加者数は延べ196人で、前年度から50人近く増えた。

 参加者の1人、元JRマンの小幡憲一さんは77歳、当初から来ているので7、8年たつ。「みんなで作って食べるとおいしい。家での食生活にも気にするようになりました」と話す。当日のメニューの総カロリーは、ご飯を入れて507キロカロリー(塩分3グラム)に抑えている。献立を考える管理栄養士の樋口麻美さんは、「減塩に気をつけ、薄い味にもなれてもらえるよう工夫しています」という。アルコール依存症傾向にあった人が誘われて参加し、生活の見直しの契機になった好事例も生まれている。

0512iki.jpg保健師が関わる安心感

 町の介護予防の取組を一手にまとめているのが、直営の南幌市地域包括支援センター。成功の要因を、保健師の佐藤由美子さんはつぎのように分析する。

 「保健師や管理栄養士など専門職が関わる安心感が大きいこと、筋トレや体操は最初に病院で健診を受けてもらい健康上問題があるかどうかチェックしてもらっての参加であること。それに、1次予防の体操『快足シャキッと倶楽部』などの参加者が休む場合も、特に連絡なしでもよい気軽さも参加率を高めているのかも知れません」

 「快足シャキッと倶楽部」では、1次予防対象者と、2次予防対象者で運動機能向上事業修了者を対象に、健康運動指導員と保健師が関わり、体操のほか、栄養改善やレクリエーション、体力測定が行われる。歯科衛生士による口腔ケアも実施され、参加者が増えた。町内2カ所での開催だが、参加者の増加で十分な運動スペースの確保になってきたという。うれしい悲鳴だ。

 「参加者には家での運動など書いたファイルを持参してもらい、そこに保健師がスタンプを押して、コメントを書く。運動効果を実感する人が多く、出かけるのも億劫でなくなるなど活動的になってきます。年1回の効果測定で体力が維持する人が多いですね。誰かに話を聞いてもらえるのも参加を促し、人が人を連れてきて盛り上がります。」と佐藤さん。1次予防対象者から要介護認定を受ける人は、認知症の場合に限られ、認定を受けても軽度で済んでいるという。

 運動機能や口腔機能に低下がみられる2次予防対象者(高齢者のおよそ4%にあたる86人)には、年3度(1回全12回)、地域の老健で実施するパワーリハビリ教室(参加者26人)が行われている。

 高齢者を対象にした保健師の家庭訪問は、じっくりと向き合える場で、本人が語らない情報も得ることができるとして、推進する考えだという。関わる保健師は6人。地域割の担当で、一人で赤ちゃんから高齢者までみる。

サービス調整会議で地域を把握

 もうひとつ、地域事情を把握するのに役割が大きいのが「南幌町保健・福祉・医療サービス調整推進会議」。毎月1回、地域包括支援センターが音頭をとり、保健所も入って、地域の関係事業所が集まる。個別ケースの検討や情報交換が行われる。国が進める「地域ケア会議」の役割を果たしており、関係機関や事業所が地域課題を共有する場になっている。地域包括支援センターで要介護認定の申請を受ける段階で、センターの保健師が申請者の状況をある程度把握している場合も多く、介護保険サービスが必要か、介護予防事業への参加が適当かなど、アドバイスできる。

 また、南幌市では、介護保険の福祉用具購入や住宅改修は、被保険者が制度の利用をためらって在宅での不自由な生活を余儀なくされないように、当初から1割負担で利用できる受領委任払い方式を採用している。

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みんな一緒に食べて楽しい一時 

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