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シニア住まい塾《109》 「ぐるーぷ藤二番館」2016年8月30日08時00分

地域の防災拠点にもなるNPOによる複合施設

 神奈川県藤沢市には、福祉の老舗として全国でも有名な「認定NPO法人ぐるーぷ藤」があります。ぐるーぷ藤は25年前、5人のおばさんが始めたヘルパー事業が発端です。知恵を出し合い、共に学びながら大企業もかなわないような展開を、次々に起こしてきた組織です。

0615senior.jpg ぐるーぷ藤はホームヘルプ事業を皮切りに、居宅介護支援、デイサービス、小規模多機能、看護小規模多機能、訪問看護、障害者グループホーム、障害者相談支援、高齢者住宅、レストラン、地域ささえあいセンターと次々に展開してきました。中でも「ぐるーぷ藤一番館」は、高齢者住宅の中にデイサービスやショートステイ、子育て支援の「どんぐり園」、障がい者グループホーム、ケア付きマンションを併設しており、その際に市民から募集した「コミュニュティファンド」は、全国から注目を浴びました。

 合意された事業に地域住民が投資するという形で、市民に呼びかけ出資者を募った方法です。市民に信頼されているNPOでなければ、担保は「ぐるーぷ藤の活動」という団体に、一般の人は出資してくれません。ところが目標の9,950万円に2カ月で到達し、新聞などでも大きく取り上げられました。

地元住民、銀行からの支援で建設

 今回、「ぐるーぷ藤二番館」が建設されることで、代表の鷲尾公子さんにお話を伺いました。一番館は2007年に開設しましたが、そのとき鷲尾さんは中期計画として二番館、長期計画として三番館を視野に入れていました。

 二番館の計画も順調に進み、藤沢の海沿いに土地を借り、総工費8億円の事業計画も通り、あとは着工するだけとなっていました。

 しかしその時に東日本大震災が起こり、調べてみると借地で施設を建てたNPOはことごとく再興できていないという状況を知りました。行政、銀行とも地主さんには再建へ向けた補助金を出しますが、建物の所有者には補助金は出しません。藤沢の海沿いの二番館に万が一津波被害があったら、入居者の行き場がなくなる、と悩みました。

 そこで海沿いへの建設は白紙に戻し、山側の土地を探し始めました。今までの活動は、市民からも行政からも信頼を得ており、市の公社から740坪を51年契約で借りることができました。

 今年4月、藤沢市柄沢に総工費8億7,000万円の二番館が着工となりました。来年5月開設予定ですが、すでに申し込みの受け付け予約も入っています。借地でありながら建設費のうち7億円は地元の銀行が融資。この銀行は一番館の時にも融資をしてくれて、その後もぐるーぷ藤の活動を見守り続けてくれた地元の銀行です。

 8億円のうち1億円は、前回と同じ内容で擬似私募債として募集しますが、3年満期で年に1・5%の利子がつくので、市民には好評で、問い合わせだけでもすでに1億円を上回っています。

 サービス付き高齢者向け住宅で、広さや設備など要件に沿ったものには1戸120万円の補助金が出るので、全体で6,774万円余りの補助がおります。あとはグループの預金で十分まかなえます。

 事業計画を聞くと、「サ高住は入居金をとってはいけない決まりですから、儲けはありません。二番館は44室でA棟、B棟とありますがC棟で介護保険事業をします」と鷲尾さん。その介護保険事業には独自の事業が含まれており、C棟には「超音波流水プール」を設ける予定です。15分入っているだけで身体の深部まで温まり、体温が1度上がり免疫力が高まり、通常のウォーキングの2倍にあたる運動効果が得られるとか。

 C棟のデイサービスは午前、午後とも3時間半利用のリハビリ型デイで、それぞれ定員25人。C棟には小規模多機能(定員29人)とレストラン(昼・夕食)も併設し、リハビリ型デイの利用者、サ高住の入居者、外部の人も利用できます。

 二番館の入居者は、ヘルパーやデイサービス、小規模多機能、レストランなどを利用することで、最期までいられます。医療が必要になれば、一番館の看護小規模多機能の看護師が24時間対応してくれます。ちなみに一番館では、がん末期の方の看取りも数人実績があります。

災害時の水、電気、ガスを確保

 このほか大きな特徴は、防災への対応がきっちりしていることです。災害時の飲み水の確保のため、87mの深さまで井戸を掘り、普段はプールの水に使用しています。建物の外側には非常用のトイレ用を4基準備しました。必要な時にはすぐに組み立てられ、1回500㏄の水が流れます。駐車場の片隅には福島で仮設住宅に使っていたログハウスを1棟譲り受け、地域の居場所として活用します。そこにはプロパンガスと発電機を備え、本館の屋根にはソーラーパネルを設置しました。災害があっても電気や水洗トイレ、飲み水、ガスがあるという、地元自治体としても大変頼りになる施設です。

 鷲尾さんは、25年に若年者人口が減って介護力が落ちるといいます。しかしぐるーぷ藤には140人のスタッフがいます。全職員がヘルパー資格を有するのはもちろん、介護福祉士やケアマネジャーの資格をもつ人も多くいます。

 この施設づくりの知恵とアイデア、実行力、費用への取り組み全てを、普通のおばさん集団のぐるーぷ藤がしています。「福祉職が幸せでないと、利用者も幸せではない」と、いま現在ぐるーぷ藤のヘルパーには、年3回のボーナスが支給されています。

「ぐるーぷ藤二番館」概要

 4階建てで全44室。居室はAタイプ25.86㎡が19戸。Bタイプ25.59㎡が22戸。タイプ42.51㎡が3戸。Aタイプは下駄箱、キッチン、浴室、洗面台、トイレ、収納、バルコニー付き。Bタイプは浴室がシャワーに変わりあとは同じ。Cタイプの設備はAタイプと同じで、バルコニーが2カ所あり。

 家賃は月8~12万8,000円。管理費3万円、基本サービス費2万円(コンシェルジュ対応、夜間緊急通報、管理人常駐)。

 藤沢市柄沢17街区5区画他(仮地番)、問合せ=☎0466・24・3100

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