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シニア住まい塾《90》 仕事に燃える90歳、生涯現役で2015年1月20日15時39分

 「シニア住まい塾」に90歳の男性が「終の住処」の相談に見えました。ユニークな探し方でしたが、大拍手を送りたいのでここに紹介させて頂きます。「今までの仕事を続けたいので、会社の近くの有料老人ホームを」が第一条件でした。

1215senior.jpg その男性、古澤正文さんは、神奈川の茅ヶ崎市に奥様とお二人で暮している方で、お元気ではあるものの、心臓にはステントが入り、脳梗塞も患ったことがある方で、要支援1です。

 元は大企業の社長さんで、定年後は、今のクラフトの会社にオブザーバーとして勤務。80歳でギター教室に通いはじめ、クラシック音楽の趣味をもつ、品のいいおじいさまです。

 今関わっている会社は、相模原にある日本化工機材。この会社は、ダンボールを再生して作られた紙管原紙から角型紙管を生産しています。高度成長期には、家電機器や精密機器が大量に輸出され、その梱包に大量の南洋木材が使用されましたが、木材にはいろいろな虫が巣くっており、輸出先の国から、駆除した木材を使用するように要請されました。

 家電メーカーの要請を受けて、紙管メーカーは角材になる紙管の開発をしたのです。友人の赤柴元五郎氏(この機械の開発者であり、特許保持者)は、機械開発に取り組んでいましたが、彼の要請を受けて、アフターファイブに設計計算を手伝い、その結果機械は完成し、特許もとれ、角型紙管の専門メーカーとして独占的に生産販売しています。

 そんなことからこの会社との関係が生まれ、紙管とダンボールによるものつくりの開発をこの会社の中でやるようになりました。

 紙管は中空なので、卒業証書入れ、贈答用削り節缶などに広く使われており、災害時の避難先の間仕切りの柱にも使用されています。

 紙が原材料なので、強度や重さにどこまで耐えられるかの検査や研究も、試験室で実施し、水に弱い、軽いなどの欠点も克服する研究は常に進めています。東日本大震災の時には、紙のトイレが大変重宝されました。

 「紙管は古紙から再生された進化した木材である、建築物は燃えないことが大事だから、それの研究も進めたい、これからはもっと紙製品が活躍する時代になる」と古澤さんは、さらに今後の夢を語ってくれました。

 建築界のノーベル賞といわれている「ブリッカー賞」を取得した建築家の坂茂さんは、紙の建築家としても知られていますが、その坂さんが古澤さんの作業室を訪ねて相談にのったこともいい思い出です。

 私は、古澤さんのご自宅に伺ったり、施設に同行したこともありますが、日本化工機材でお目にかかった古澤さんは、いつもより20歳若く見えました。当日は、古澤さんの作業部屋に伺ったのですが、様々な紙管工具と作品、材料の中でハツラツとした古澤さんに会いました。この部屋は2階に位置し、急な階段もあるのですが、手すりにつかまってスルスルと何度も登ったり下りたりされていました。

 当日は、この近くの有料老人ホームに体験入居中で、当日は私のために朝早く出勤して、お掃除をして待っていてくださったのです。

1215senior2.jpg 今は、主に市民活動センターや公民館などで、踏み台やゴミ箱、イス、小物入れなどの作り方を教えています。注文をとって作るとなると、作れる職員を揃えなければならないので、作り方を教える講座に力をいれています。材料はキットとして売ったり、ボランティア主婦たちが作ったイスや筆立て、小物入れなどはバザーで売ったりしています。楽しく作る人が増えればいい、というのが主な目的で、作って売ってお金を稼ぐという目的ではありません。それにしてもアイデアが豊富で、幼稚園などの隅に置いたら子どもが喜びそうな小屋や木馬、様々なイス、ベッド、テーブルなどが並んでいました。ベッドは病院の付き添い用に便利だと思います。

 ヒット作品は麻雀卓で、これは高齢者の施設で大変喜ばれているとか。軽くて持ち運びが楽で、片付けに場所をとらない、費用も安いなどで、他の有料老人ホームや施設に紹介したいくらいです。

 シニア住まい塾から、2~3の老人施設や有料老人ホームにこの話をすると、「ぜひウチの地域交流センターで講座を開いてください」「ウチのデイサービスでお年寄りに教えてほしい」、「ウチの有料老人ホームのお年寄りに活力を与えたいので、ぜひ作品展を」とすでに大人気です。やりがいのある仕事は、老化を防ぎます。

 生涯現役を目指す古澤さんは、この会社の近くの有料老人ホームに移る準備を始めました。90歳、まだまだ現役、意欲ある所に道は開ける、です。

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