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シニア住まい塾《94》 多世代で暮らす「ぼちぼち長屋」2015年3月26日16時03分

 「シニア住まい塾」は、お年寄りが終の住処探しにみえるところですが、いざ移るとなると、「さびしいなあ」と言われる方が多いです。住み慣れた土地を離れることのほか、年寄りばかりの住まいに移るのは気が進まない、と言われます。

 若さというのは何よりの魅力で吸引力のあるものだと、私も70歳になって身にしみて感じます。今回は、多世代で暮らす家を訪問しました。

0215senior.jpg 多世代で暮らす「ぼちぼち長屋」は、名古屋から地下鉄に乗り「藤が丘」駅から徒歩10分の所にあります。運営主体は、「ゴジカラ村役場株式会社」で、土地は借地、建物は大家さんが建ててくれたのを1棟借りしています。間口はそれほど目立たないものの、奥行きは深い建物です。入り口に、地域に開放している交流スペースとデイサービスの「ちゃらん」があります。長屋の玄関を入ると、田舎の大家族の家のような雰囲気で、木のぬくもりが詰まった長屋です。

 所長の近藤想さんは、「車いすの人も元気な人も、ひとり暮らしのOLさんも、子どものいる家族もみんなが一つ屋根の下に暮らす2階建てのアパートのような住まいです」と説明してくれました。

 ぼちぼち長屋は、「お母さんが子どもを怒っていても、おじいちゃんがフォローしてくれたり、子育てで悩んでいる職員や、遊びにくる近所の人におばあちゃんがアドバイスしたりすることが日常の中でできる」住まいです。だれでも失敗するし、うれしいことも楽しいこともあるけれど、わずらわしいこともある。ほどほどに折り合って、ぼちぼち暮していきましょう、という意味を込めて名付けられました。

 1階は、単身用の部屋が13室と、玄関、リビング兼食堂、お風呂、トイレ、縁側、応接スペース。1階の室内は6畳のフローリングスペースに、エアコンのみ。13人とも要介護者が住み、そのうちの9人が車いすです。介護度のついた方を優先するのは、介護保険給付がないと、入居金のない長屋では、運営が成り立たないからです。しかしながら、2003年の開設時から値上げなしでやっているのはすごいことです。各棟すべて、床暖房がついています。

 所長のほかに生活相談員、ヘルパー、ケアマネジャーも1階に居て、リビングでテレビを見たり、庭を眺めたり、話をしたり、介護をしたり。車いすの方もトイレに行く傍らで、ちょっとリビングで一休みして、お茶を飲んだりしています。2階には部屋が4室あり、ミニキッチン、ユニットバス付きの部屋個々にOLさんが4人住んでいます。1室だけ家族用の居室があり、子どものいる家族が住んでいて、子どもとお年寄りがふれあう場面もあります。

 お年寄りのほとんどが病院や老健からの入居者で、退院時にひとり暮らしの家に帰るのは不安だと、長屋での暮らしを望む人が集まっています。必要とされている住まいです。もちろん夜間も介護職員はいます。

 ぼちぼち長屋を私流に表現すると、デイの職員が関わったり、ヘルパーさん、訪問看護師さんなど、いろいろな人の出入りがある「常に人がいる。自室にいても人の気配がする住まい」です。看取りの実績もあり、お葬式をリビングでしたこともあるそうです。

 老若男女の楽しい生活を描いて、縁側でのお花見や、お月見、たまには一杯飲んだりすることを予想して、家賃6万3,000円をOLさんだけは3万円免除になる仕組みにしました。夕食はみんなで食卓を囲む、OLさんがお年寄りの話し相手になる、休みの日には若い人が車いすで散歩をなど、を夢見ていたのですが…。

0215senior2.jpg ところが、ここでもデジタル化の波はぬぐえず、お年寄りの相手よりもパソコンやスマホを相手に暮らす若者文化が優勢になってきました。これは10年前には考えられなかったことです。残業になれば夕食時間のずれもあるでしょう。どこの家でもあるような問題がぼちぼち長屋にもある、ということです。

 秋祭りの時には近隣にも呼びかけて、バザーや模擬店の出展をしたり、バンド演奏をしたりと楽しんだりしますが、日常の中での若さのふれあいは、ヘルパーさんやケアマネさんなどの職員からだけです。

 時代の流れは速く、これからはもっともっと若い人は減っていきます。スピードや利益ばかりが要求される社会になったら、お年寄りと若い人のテンポはずれていくばかりです。

 ぼちぼち長屋は、いつも誰かがいる住まい。帰ってきて「ひとり」ということは、絶対にありません。それだけでもあったかい住まいです。

 多世代で暮らすことの中身も変わってくると思いますが、あったかさだけは、なくならないように皆さんも一緒に考えていきませんか。

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 「ぼちぼち長屋」=愛知県長久手市下山50-1、☎0561・61・4580

 ▽入居条件=要介護認定を受けている方。徘徊しない、共同生活になじめる方、常時医療行為を必要とする方は要相談▽料金=敷金15万5,000円、礼金15万円▽家賃=6万5,000円▽運営費=5万円▽食費=4万円。他に介護保険の1割負担と日用品費がかかります。保証人は1人。成年後見人でも可。

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