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台湾介護施設レポート 清福養老院 (新北市) 800余床の大規模施設 [2018/01] 2019年2月20日16時45分

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 1600の高齢者施設がある台湾。平均入居率75%の状況のもとで、新北市にある清福養老院(陳意千施設長)は入居率95%を誇る。昨年12月には念願の病院を併設し、サービスや利便性が向上した。台湾の介護・看護職らとともに海外からの介護士が現場を支えている。法規制が強く収益確保が難しい台湾の介護施設にあって数少ない成功事例だという。

 

月利用額11~13

 首都台北市(人口269万人)を囲むようにしてある新北市(人口398万人、台湾最大)の南部に、816床の大規模施設、清福養老院がある。台北市の中心から車で40分程かかるベッドタウンだ。2012年に9階建ての3棟を広い通路で結んだ施設建物が完成し、毎年入居者を200人ずつ増やしてきた。

 病院の併設は設立当初から要望してきたが、すぐには認可が下りず、16年末にできた。近隣の病院までの通院がなくなり利便性が増して通院の負担も減った。院内のリハビリテーションは月延べ3000人が利用している。

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「1施設50床」 × 16ユニット

 「施設介護が必要になった高齢者には、施設に入る経済的余裕のない人と、お金はあるが満足する施設のない人がいる。当施設は後者の人たちを対象に運営してきた」と、陳施設長は裕福層を顧客にする高齢者施設であることを説明する。

 他の施設の多くが政府からの入居補助がある低所得者が入居者の半分ほどを占めているのに対して、清福養老院は補助を受けている人は入居者全体の15%に止まっている。月々の利用料は3万2000元~3万5000元(11~13万円、別に消費税5%がつく)で、新北市の平均的な利用料と言う。日本のサービス付き高齢者向け住宅の利用料に近い。

 清福養老院は大施設だが、制度上は50人の施設が16ユニット集まったもので、台湾にある1600施設もその勘定でカウントしたもの。ただし9割の施設は50人規模の小規模が多く、措置の入所者が多い。同施設は比較的軽度な人から長期療養者、入院の必要な人まで広範な要介護者を受け入れている。

 台湾の施設事情に詳しい台日産業技術合作促進会(台北市)の林峻暉事務局長は、台湾での介護の特徴として、看護師の確保が困難であること、政府の厳しい管理、そして利用者本人・家族が「施設は衣食住すべての面倒を見てくれるところ」と思っていること――を挙げる。

 台湾では古くから、東南アジアからの出稼ぎ女性を自宅で雇い、家事や育児、介護を担わせる習慣があり、施設介護の利用者負担をあまり引き上げることができないという事情がある。

 

台湾の高齢者ケアを支える外国人介護士

 最も特徴的であるのは、インドネシアなどからの外国人介護士が多い点。外国人介護職の人数は、台湾人と同数まで認められている。外国人介護士の給与はおよそ月2万元(7万6000円)で、台湾人に比べて半額程度で抑えられている。自国で働くより高額の収入が得られるが、同一労働同一賃金の規制がないことから、送り出し側のインドネシアでは台湾政府に改善を強く求めている。こうした事態に陳施設長は困惑を隠せない。

 施設経営の難しさは特に地価が高く、バリアフリー化など法規制のより厳しい首都台北市内の施設が顕著で、現在の施設数は80~90施設に過ぎず、以前から半減したという。介護保険制度がない台湾の現状では、人件費率の高い介護事業だけに、給与を低く抑えられる外国人介護士の存在は事業の前提条件になっていることがわかる。

 

「8:1」人員体制 見通しよくして見守り確保

 施設スタッフ数は330人で、外国人介護士が半数を占める。国の施設人員基準の基本は、8対1。「昼間の介護体制、常時8対1は絶対」として、「たとえ事故などに出会って出勤が遅れても許されないルール」と陳施設長は規則の厳しさを表現した。見通しのよい10mもの広い廊下やオープンスペースの看護ステーションは、少ない人員でも目が行き届き、見守りやすさに配慮されている。

2018年1月10日号

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