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千田透の時代を読む視点 (55) 集合住宅、出来高ではなく包括報酬に [2018/03]2019年3月27日00時05分

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 現在、4月からの介護報酬改定に向けた準備が各方面で進められているが、今回の改定で個人的に引っかかるのは、集合住宅居住者の区分支給限度基準額を計算する際に、減算前の単位を用いるとの見直しである。

 きっかけは、区分支給限度基準額との関係で、集合住宅にかかる減算の適用を受けている人の方が、減算を受けていない人より多くのサービスを利用できる状況になっているのを受け、会計検査院から、「同一建物減算の適用の有無により、利用できる訪問介護の回数に差異が生ずることのないように措置を講じること」と指摘されたことだ。

 この制度上の〝矛盾″を解消するために、集合住宅にかかる減算の部分にだけ、区分支給限度額を計算するにあたって、減算前の単位数を適用することとなった。

 この見直しは、利用者との契約やケアマネジメントの存在を軽視するものであり、何よりも、介護保険のルールをさらに複雑化させるものである。区分支給限度基準額という大原則に余計なルールが加わったという印象だ。

 

 会計検査院に言われるまでもなく、集合住宅に対する減算を強化していけば、こうしたことが制度設計上、起こり得ることは容易に想像できる。そうであるにも関わらず、集合住宅に対する報酬のあり方や区分支給限度基準額について根本的な議論や見直しを行ってこなかったため、小手先の改定を行わざるを得なくなったのである。

 厚労省が示した資料では、訪問介護サービス全体の訪問回数のうち、同一建物減算の適用を受けているのは34.0%と、すでに3分の1に達している。こうした実態に対処すべく、集合住宅については、報酬のあり方等について減算一辺倒ではなく、根本的に議論していくべき時期にきている。

 たとえば、併設・隣接する事業者がサービス提供する場合、出来高払いではなく、包括報酬にするなどの考えがあっても良い。そうすることで、不必要に限度額いっぱいまでサービスを利用するといった行動も抑制できるだろうし、事業者側もアセスメント結果に基づき、必要なサービスを提供しているにもかかわらず、過剰にサービスを位置付けているなどの批判を受けなくても済むはずだ。

 

 さらに区分支給限度基準額そのものについても見直していくべきである。国が資料でも示しているように、区分支給限度基準額の水準というのは、要介護度ごとに「標準的に必要と考えられるサービスの組合せ利用例」を勘案し設定されている。

 医療制度改革の流れで、今後、医療依存度が高く、重度化した要介護者が在宅に増えていく。そうすると、当然ながら、区分支給限度基準額を超える利用者も出てくる。

 そうした観点から、今の時代に合った新たな「標準的なサービスの利用例」をつくり直し、その上で現在の区分支給限度基準額の水準が適切かどうかを考えていくべきであろう。

 

全国生活協同組合 連合会 常務理事 千田 透(ちだ とおる) 

 

2018年3月10日号

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