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地域力発見 (66) 宮下今日子 精神障がい者支援が地域課題 [2018/07]2019年3月27日00時12分

 

65歳の壁、行政・専門職らが移行会議

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 東京都世田谷区の烏山あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)は、精神障がい者への対応を地域課題の一つとしている。というのも、当該エリアには複数の精神病院があり、退院後の支援が必然的に多く、また障がい高齢者の増加に伴い、65歳から介護保険の利用に移る人が出てきているためだ。

 一方、在宅のケアマネジャーにとっても、いわゆる「8050問題」で家族への対応、中でも精神疾患への理解は課題になってきた。

 居宅、訪問、障がいサービスを手掛ける株式会社サンフラワーの宮川英子代表は、精神障がいの場合、部屋の整理が苦手なので、掃除で入ることが多く、幻覚やパニック症状が出て、ヘルパーに怒鳴ることもある。薬の管理が難しく訪問看護は必須。また、総合事業で危惧するのは担当するヘルパーの質、と厳しく指摘する。

 5年間、烏山包括に勤務する比留間香代子氏は、2~3年前から65歳に伴い介護保険に移行する例が出てきたと話す。しかし、精神障がいで介護認定が出ても、軽度になることが多く、移行が難しいケースは常々問題になっていた。障がい側から書類を渡されるだけだと本当に困ってしまう、と深刻に訴える。

 一方、「世田谷区烏山地域障害者相談支援センター」では精神疾患の相談が9割以上を占めているという。精神障がいで多い統合失調症は、家族と同居時の青年期に発症することから、トラブルで一人暮らしになることが多い。相談支援の難しさが伺える。

 この利用者の多くは「就労継続支援B型」で作業所に通うことが多く、日中ほとんどをここで過ごす。しかし、デイサービスと異なるのは、作業所が就労なのに対して、デイサービスにその役割はない点。65歳になった時、同じようなサービスがある時は介護保険が優先すると国は示すが、仮に移行しても、回数を制限されることもあり、何より本人の生き甲斐が喪失する。実際、移行しても悩んでいる人が出ているそうだ。

 こうした移行の難しさを抱える中、世田谷区では、行政、包括、障がい相談支援センター、障がい支援事業所らが連携し、烏山総合支所エリアに住み、今年度中に65歳になる精神障がい者を抽出する選定会議を開いた。すでに、14人がピックアップされ、そのうち、今使っている障がいサービスと介護の量とに差が出そうなケースなど、7件については、個別の移行会議を設けていく。すでに、5月末には一人目の移行会議が行われた。

 障がい者支援側も地域ケア会議に参加し、障がい高齢者の問題も話し合っているそうだが、「精神障がい者は普通の生活者だという視点が大事。特別視することなく、偏見を拭うことも課題」と自立支援協議会の木村泰平氏(社福なごみ福祉会)は話す。

 高齢者介護の現場にも精神障がいへの理解が求められる。こうした移行会議を経ずにプランを組むなら、現場のケアマネの混乱は必至だ。障がい・介護双方による話し合いで、利用者が納得して移行できる仕組みを歓迎したい。

2018年7月10日号

 

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