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「働く力」を育てたい① 宝塚育成事業所 松下 祐介2011年8月16日21時19分

 介護保険の福祉用具サービスを提供する知的障がい者の事業所がある。措置時代から老人日常生活給付等事業などに携わってきた社団法人宝塚市手をつなぐ育成会(安村眞紀会長)の宝塚育成事業所(兵庫県宝塚市)。日々の活動を福祉用具事業を掌握する松下祐介さんに記述してもらった。

 心を共有する喜び

 朝一番、宝塚育成事業所の電話が鳴る。長年福祉用具をご利用いただいていた宝塚市内の老夫婦のご主人様が今朝亡くなられ、すぐに福祉用具の引き上げてほしいとのこと。
 午前9時30分、宝塚育成事業所のスタッフ6人を乗せた配送トラックが利用者宅の前に到着した。職員が挨拶をして、福祉用具の搬出作業に入る。ベッドの横には御主人がご遺体で寝ておられる。それを見た自閉症のスタッフは独り言のような小さな声で「静かにしなきゃ」と言っている。
 配送のスタッフ6人中4人が知的に障害がある。手分けをして手際よくベッドを解体し、玄関まで運ぶ。玄関で受け取ったメンバーは配送車まで運び載せる。6人のメンバーがそれぞれに持ち場があるので非常に早く作業が進む。私は、婦人がベッドのあった場所を寂しそうに見つめているのを少し気にかけながら全体を見て指示を出したり、スタッフの手を貸したりした。
 車いすやスロープなどの搬出も終わり、皆が玄関でお辞儀をする。まっすぐお辞儀のできない者や言葉の話せない者もいるが、婦人もスタッフ全員に深々とお辞儀をした。
 その時の満足感と寂寞感が入り混じったような気持ちは私だけではなくスタッフ全員が共有しているのではないかと思う。
 別の日。宝塚市内の一軒家に、介護ベッドの必要になった方のために育成事業所の配送トラックが止まった。
 配送のスタッフが手分けをして手際よくベッドを組み立てていく。3人が配送車から玄関まで部材を運び、残りの3人が部屋で組み立てている。自閉傾向のあるスタッフは器用にピンを差し込んでベッドを組み立てる。言葉は話せないが黙々と部材を玄関まで運ぶ者、他のことに気を取られそうになりながら、玄関で受け取った部材を部屋まで運ぶ者、一風変わった配送風景だ。
 設置完了後、皆が玄関で「ありがとうございましたっ」とお辞儀をする。まっすぐお辞儀のできない者や言葉の話せない者もいるが、ご家族からの「ありがとうね」「ご苦労様」の言葉を頂戴した。 仕事を一つやり終えた満足感をスタッフ全員で共有した。

(つづく)


育成事業所の概要
 宝塚市内にある知的障害者通所作業所(多機能型就労継続支援A・B型)である宝塚育成事業所。17年前から作業種目として、介護用品のレンタル事業を行っている。作業所には21人の知的に障害のあるスタッフが配送業務や、引きあげてきた福祉用具の消毒業務を行う。所在地=宝塚市安倉西4-1-7、電話=0797-86-9283。

  • 1107宝塚スタッフ全員1.JPG
  • 福祉用具レンタルに従事するスタッフ

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