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我々の主張
2012年度改定に向けて「日本歯科衛生士会 会長 金澤紀子氏」2012年3月 8日20時26分

「施設の歯科衛生士配置を考える時期

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日本歯科衛生士会
会長 金澤 紀子 氏

 

 

――口腔衛生の認識が高まり、介護分野でも歯科衛生士に対する期待が高まっている。

金澤 80歳で自分の歯を20本以上残す「8020」運動を歯科関係者は推進してきた。その結果20年前は達成率は5~6%。それが現在25~26%、団塊の世代が80歳になる頃には約50%になると予測されている。高齢者はもちろん、乳幼児期からの生涯にわたる口腔衛生推進の成果だ。

 昨年8月2日に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が成立し、国も歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進している。施策には定期的な歯科検診や歯科疾患の予防措置などがあり、歯科衛生士はその責務を担うとされ、歯科衛生士の活動範囲は広がるものと期待している。

 高齢者にとって食事と会話は大きな楽しみだ。そのためには日常の口腔機能維持や衛生管理が欠かせない。それは要介護者でも同じで、介護保険で口腔関連に報酬があるのはそのためだと考えている。

――3年前に新設された口腔機能維持管理加算を算定する施設が着実に増えている。

金澤 そのとおりで現在施設サービス受給者の約3割が算定している。さらに今回の報酬改定では、介護保健施設入所者に対する口腔関連サービスが論点となり、従来加算は「口腔機能維持管理体制加算」と名称が変更され、新たな「口腔維持管理加算」として1カ月110単位が新設された。算定要件は歯科衛生士が直接入所者に対する口腔ケアとなっており、歯科衛生士が高く評価されたものと理解している。

 歯科衛生士と介護職員による口腔ケアを比較した場合、歯科衛生士が行うと有意に肺炎の発症率が低下したというデータがある。肺炎にかぎらず高齢者は唾液の分泌が衰え、ドライマウス状態になりやすく、カンジダなどの菌が舌や粘膜に増殖しやすい。歯科衛生士の直接関与で口腔内の衛生管理がさらに向上すると、全身性の疾患の予防になることは今日の常識であり、このデータはそのことをはっきり証明している。職員による口腔ケアの重要性は否定しないが、やはり専門職が担う方がベターだ。

 また通所介護では口腔機能向上など複数のサービスを組み合わせた場合に新しい加算が設けられるなどの前進も見られた。歯石の除去など「歯科疾患の予防処置」は歯科医師の立会いが必要だが、その緩和を求めているところだ。

 施設においては歯科衛生士の配置に対して体制加算を設けたり、配置基準そのものに加えたらどうだろうか。そのことで口腔疾患や全身性の疾患の予防になり、食事や会話がはずみ利用者のQOLが向上することは間違いないはずだ。

 ――在宅の要介護者の口腔ケアも重要であり、歯科医師も訪問歯科診療に前向きだ。

金澤 もちろんそのことはちっかりと認識している。

 在宅の要介護高齢者の場合、通院が可能ならば、歯科診療所で予防や治療を行うことが原則だろう。しかし在宅でも重度者が増える中、在宅口腔ケアを充実させるには、歯科医師の指示はもちろん、ケアマネジャーや看護師との連携が求められる。

 特にケアマネジャーの方には口腔ケアの重要性を十分に認識いただき、歯科医師や歯科衛生士と意識的に連携を深めてもらいたいし、行政に対しては地域包括センターにおける歯科衛生士の役割も考慮してもらいたい。

 最近ではきちんと咀嚼ができると認知症の予防になるとのデータも出ている。口腔ケアは口腔疾患の予防から、全身性の疾患の予防、さらに認知症の予防の可能性も秘めているわけで、介護予防はもちろん、高齢者の疾病予防に貢献していきたい。

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