ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

我々の主張
2012年度改定に向けて「日本言語聴覚士協会 会長 深浦順一氏」2012年3月31日08時00分

「地域の医療介護計画策定には人的資源の把握を

huka_st_12_03.jpg 

 

日本言語聴覚士協会
会長 深浦 順一 氏

 

 

――介護分野における言語聴覚士(ST)の活動状況は。

深浦 介護事業所で働くSTは、勤務ST全体の8~9%を占めると予測している。特に老健施設でのニーズが高まっているようだ。ただ全体の75%は医療機関で働いており、介護分野での活動はまだ十分とはいえない。

 STは現在、圧倒的に数が不足している。毎年1600人のSTが誕生しているものの、それでも医療機関における量的ニーズに応じきれていないのが実情だ。また有資格者の8割を女性が占めるため結婚、出産などで職場を離れざるをえないケースも少なくないと思われる。

 老健での従事者数が増えているのは、やはりリハビリ全体の重要性が認識されてきたからだろう。資格取得後、医療機関を経ずにそのまま老健に就職するSTも最近出てきている。そうした背景もあり協会では04年から生涯教育プログラムを策定し実施している。専門職として生涯学習は欠かせない。またそれとは別に今年度から年間3回の介護保険領域を中心とした講習会を開催し、STのさらなるレベルアップに努めているところだ。今後は大学の修士課程修了者レベルのSTを対象に「専門言語聴覚士」の認定も視野に入れている。

――STは「話す」「聞く」「食べる」という生きるための基本的な機能を対象としており、加齢により衰えるそれらの機能を維持するにはさらに介護分野での活動を望みたい。

深浦 例えば事故による高次脳機能障害、発症早期の失語症や嚥下障害などの改善は医療分野が担い、退院後における在宅のQOLの維持向上などを担うのは介護保険と大別されている。

 しかし、回復期リハを経ずに、急性期からそのまま在宅へ退院するケースも多く、回復期の訓練ができない問題を抱えている。例えば脳卒中の患者さんで言語障害があっても、麻痺が軽いケースだとそのまま在宅に戻るケースは少なくない。きちんと通所リハや訪問リハでフォローできればよいが、訪問リハを行う事業所におけるSTが少なく、十分にフォローできていないのが実情だ。そのため言語機能が衰えてしまう。言語機能は、一度失われても正しい訓練により長い期間をかけて回復することもあるだけに、行政を中心に医療と介護の連携をもっと進めるべきだろう。

 一方、「食べる」を支える嚥下機能の維持回復もSTの大きな役割だが、この場合高度なスキルが要求されるケースもある。誤嚥性肺炎のリスク管理は医師や看護師はもちろん、他のメディカルスタッフとの関わりも大事で、病院ならともかく在宅、しかも重度となるとよほど熟練したスタッフが緊密に連携しなければ難しい。ただSTの立場からは、やはり可能な限り経口摂取の維持を図り、食べることにより高齢者のQOLを高めたいと考えている。

 ――今回の介護報酬改定をどう評価しているか。

深浦 訪問介護とリハスタッフが共同したり訪問看護の初回加算が新設されるなど、在宅リハ重視の傾向は感じられるが、「共同利用型訪問リハビリステーション」が実現できなかったのは大きな課題だ。今回改定の事業所経営に対する影響はまだ明言できない。

 行政が地域医療計画や介護保険における地域包括ケアシステムを作成する場合、地域の医療機関、介護施設や事業所などの資源を中心に策定されがち。そのことも重要だが、その圏域にどのような職種の医療、介護人材が何人いるのかなど人的資源の把握がおろそかになってはいないか。ハード、ソフト両面が充足されたときにこそ、高齢者は安心して在宅生活を継続できるだろう。

「我々の主張」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 【お知らせ】電子版「シルバー産業新聞」
  • シルバー産業新聞申し込み
  • ハンドブック申し込み
  • SSL グローバルサインのサイトシール