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座談会
福祉用具座談会 後編 その32012年2月 6日20時10分

 

計画書が今後業界に与える影響を予測する

 

――最後にお聞きしたいのは計画書の義務化が、2年後あるいは5年後業界全体にどのような影響を与えるかです。現在は価格主体で推移するような業界になっていますが、サービスの質で選ばれる業界に変わっていくでしょうか。また専門相談員や事業所が介護業界の中でどのように位置づけられるのでしょうか。

岩元 市場の価格競争はすでに一定の限界にまで近づきつつあります。これ以上価格競争が続けば質の担保ができなくなる。質を犠牲にするような価格競争はやめなければなりません。計画書作成には一定の手間とスキルが必要なので質と内容によって福祉用具が選ばれるようになってほしいと願います。義務化はその大きな転機。確かに業務量が増え反発もあると思いますが、これを行わないと事業者として生き残れません。

山下 業界全体の質が上がるのは間違いありません。根拠のない無駄な導入事例がなくなり、利用者も良いサービスが受けられるようになります。無駄の多い事業者は淘汰され、質の高い事業者だけが生き残ります。

また専門性が高い専門相談員を抱えた事業所が増えると、いつ、どのような時にOT、PTに相談すればよいか判断でき、連携が活発になると考えられます。ケアマネジャーとの連携も明確になり、担当の専門相談員が変わっても利用者情報が管理されるのでサービスの質の維持が可能となります。

記虎 業務量は増えますが、間違いなく質は高くなります。発展的に考えれば専門相談員としての新たなスタート。新しい職種、資格として位置づけられる可能性も秘めており、それをめざすことが利用者のためにもなります。専門性を高めることで相乗効果によりケアマネジャーの質も向上し、それがケアプランに反映されることが期待されます。また福祉用具貸与に関する一定のマニュアルを新たに作る必要性も考えられます。

――サービスの質の標準化ということですか。

岩元 当社が計画書をはじめたのはまさにそういった理由です。例えば「男性」「脳梗塞後遺症」「独居」などの条件を入力すれば、標準的に適用される福祉用具を導入した場合、想定される状態像の変化などがエビデンスをもって示されるよう、情報を蓄積することが必要です。

記虎 現場の情報が土台となって学術が形成されるようなものですね。

岩元 社会的コストはわれわれ事業者が競争した結果、レンタル単価として表れますが、例えば同じ500単位の車いすでも、適合や利用目的を評価する場合としない場合ではコストが同じでも利用者が受けるメリットが変わります。それは着座姿勢が変わることで身体機能が向上し、気持ちが改善されるといった計測しにくいものですが、本来はこのような質の部分で競争が行われるべきです。

山下 本当は車いすを使って毎日ショッピングに出かけたいが、身体に合わないため週1回だったのが、適切なフィッティングで週に2回、3回出かけることが可能になったというようなことですね。

――福祉用具は必要のある人が使うので適切なフィッティングを行わないと生活が実現できません。それをカバーするのが計画書であり、福祉用具サービスの本質になる部分ということですね。

山下 特に高齢者で車いすを利用される方の中には、人生に対する前向きさを失い、車いすを単なる授かりものだと思い、身体に合わなくても我慢して使うというケースも多くみられます。もし利用者が人生に積極的になり社会参加に意欲的になれば、福祉用具に関する要望もどんどん出てくるでしょう。

岩元 そういう点に気がつく高齢者は多くありません。だからこそ流通業者が良識と高い目的意識を持ち、社会保障給付の一環として支援していかなければなりません。

記虎 計画書は福祉用具レンタルだけでなく住環境なども総合的に踏まえて作成していくべきだと思います。

山下 福祉用具導入前は家族全員が暗い顔をしていたが、導入3カ月後には一様に明るくなるという話を営業から聞きます。そうした効果がまだまだ評価されていないのが現実です。福祉用具の価値を福祉用具関係者以外の人々により知ってもらうためにも、計画書の質を高める必要があります。

――本日は福祉用具の今後の在り方に関してお話しいただき、ありがとうございました。

<完>

<シルバー産業新聞 2011年11月10日号掲載>

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