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遠望
遠望156 見つけろ勝つ為の心!2013年4月10日17時42分

 「見つけろ勝つ為の心!」グラウンドのバックネットに、標語が掲げられている。

 神奈川県川崎市の住宅地にある、野球の専用グラウンド。大きい球場のような観戦席はないが、ピッチャーマウンドや外野の芝生があり、全体を高いフェンスが囲んでいる。打撃専用のケージもあり、設備は本格的だ。

 ここは、社会人野球で活躍した三菱ふそう川崎チームの練習グラウンド。三菱ふそうチームは、都市対抗野球に19回出て3回優勝、日本選手権大会では優勝1回という名門だ(会社の事情で2008年から休部)。

 あらためて標語をみると、すこし不思議なことばだ。勝つための心が必要であり、その心、つまり答えは「自分自身で」さがせといっている。

 いわれると確かに、自らをみがくための動機は、ひとによって違う。特に全国でトップレベルのチームには素質と実績のある人たちが集まるので、どうすればよいかは、選手たちが知っている。

 それで、自分で見つけろと、大人のあつかいをしている。

 この時期、学生たちは進学や就職の門出をむかえる。各人が可能性を発揮し、国の未来を背負ってくれることを願いつつ送りだす。

 折角なので、なにかひとこと贈ることばでもと考えてみる。だが、いくつか自分で突っ込みを入れると、大抵のことばは、発するより前に没になる。

 例えば、20代の自分はそれなしでやれたのではないか/それは自分がいまの歳で達した心境ではないか/それは言われて身につくことか、自分で体験して初めて心に刻んだことではないか/過去から今まではそうだとしても、今後の30年もそうか、無意識のうちに過去を前提にしていないか/自分自身は、若いころからそれができたのか、などなどである。

 こうしたフィルターをかけると、並の教訓や警句は没になる。そういえば自分の恩師も、そういうときに何もいわなかった。自分もさして聞きたいと思わなかった。

 それでも、と考える。何か一つ二つは、あるのではないか。

 一つめは「不調やトラブルをしのぐ引きだしを、なるべく多くもつこと」である。

 社会でやっていくなかで不遇、トラブル、期待する結果がでないことは誰にも起こる。

 正面からうけとめる、うけ流す、一手パスしてほぐれるのを待つ、別の力と相討ちにさせるなど、状況に応じたしのぎ方がある。

 グローバル化で世界中に競争相手が広がり、情報技術の発達で矢継ぎ早にものごとが進む。厳しい競争のもとで企業や組織が極端に効率を求められ、試行錯誤を許す余裕がなくなった。

 一方で人間関係が薄まり、ネットが発達したため、独りで処さねばならないことも多い。

 まじめな人ほど、まともに受けとめすぎて、無用なダメージを負う。自分に問題がある時もあるが、説明しようのない不条理も多い。

 幼い頃から反省はよいことと習慣づけられ、受けとめないという対処を知らない。反省すべきは反省するが、反省すべきでないことは変えてはいけない。

 スキーの女子ジャンプW杯で総合優勝した高梨沙羅選手は、2月の札幌大会で12位に沈んだが蔵王大会で復調し、2試合4本のジャンプ全部で最高点をあげた。

 不調からどう回復したかと問われて高梨選手は「気持ちは切り替えていない。直さなければいけない所だけを考えていた」と答えた(産経新聞から)。

 見直すべきはメンタルか技術か。それを見きわめて修正すべきところだけ変える。

 資質に恵まれつつ、こういうところで惜しいことをした逸材もあったのではないか。

 べつの面として、初心者は長所で押して弱みをカバーし、専門家は勝つより負けないことに意識をおくのがセオリーだ。

 プロは長く安定して勝たねばならないので、守り7分攻め3分に重心をおく。優勢よりも、劣勢で真価が問われる。

 もう一つの助言は、自身が成長するにつれて視界が広がり、次の目標が見える。山の稜線を登る感覚だ。世の中もどんどん変わる。

 長い人生はそれが続く。自分を前へ進ませる動機も、何度か探して組みなおす必要が生じる。ロケットでいえば、2段目、3段目が必要になる。

 ここで「見つけろ勝つ為の心!」である。この標語は、トップの人たちだけでなく、みんなに語りかけている。

日本福祉大学客員教授

後藤芳一

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