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遠望
遠望157 情報アクセス サクラサケ2013年4月25日08時02分

 異例のはやさで桜が咲いた。ひらき始めた花のもと、210人あまりの人たちが集まった。京都、名古屋、静岡、長野からの人もいて、数日前に満員札止めという盛況だった。

 3月20日に、東京・虎ノ門にある日本財団で「3・20情報・コミュニケーションシンポジウム」が開かれた。情報アクセスやコミュニケーション保障の法制化をめざす集まりだ。シンポジウムは、竹下義樹さん(日本盲人会連合会長)の開会挨拶ではじまり、久松三二さん(全日本ろうあ連盟常任理事)が基調報告、石川准さん(全国視覚障害者情報提供施設協会理事長)が記念講演をおこなった。続くパネルディスカッションは、高岡正さん(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴)理事長)の司会で、石野富志三郎さん(全日本ろうあ連盟理事長)、竹下さん(前出)、新谷友良さん(全難聴副理事長)、福島智さん(全国盲ろう者協会理事、メッセージ代読)と筆者がパネリストになった。

 開催の目的は「情報が得られることは、基本的人権の問題。情報・コミュニケーション障害とも言うべき、聴覚や視覚に障害のある人たちに共通する課題の解決をめざす」(竹下さん)ことである。

 障害の社会モデル(障害のある人の社会参加の不利は、個人の機能障害のみならず社会環境が原因)のもとで作られた障害者権利条約や、それを受けて改正され障害者基本法は、アクセシビリティに力点をおく。情報・コミュニケーションは、その大きい部分を占める。

 この文脈でみると、今回の催しには、いくつもの意義がある。第1は、内閣府障害者政策委員会の延長でコミュニケーションの議論を深める場になる。政策委員会は昨夏に設けられ、12月に障害者基本計画の策定に向けた意見をまとめた。政策委員会では、コミュニケーションは専門的な知識を要するので、専門の委員会を設けるべきとの意見もでた。それを別の形で実現したことになる。

 第2は、コミュニケーションに関わる障害当事者団体が、協力してとり組んだこと。 シンポジウムは、日本盲人会連合、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全国盲ろう者協会の4団体が共同で開催した。障害の違いや個々の事情を抑えて大筋で協力することで、社会や政策に働きかけやすくなる。

 第3は、障害者政策への総合的な取組みの動きがつながる。昨年、障がい者制度改革推進会議から障害者政策委員会に引き継がれた際は、政策提言の場が法(障害者基本法)で初めて位置づけられた。今回は、当事者側が自発的に場を設けたのが出色だ。4団体が協力したことで関係者が横断的に集まる場になり、政策委員会の一部を切りだしたような性格の会になった(演者の石川さんは障害者政策委員会の委員長、石野、新谷、竹下、福島の皆さんと後藤は同委員会の委員)。

 第4は、今後の発展性である。4団体は、昨年11月から検討して、シンポジウムにつなげた。

 そしていま「その先」として、さらに踏み込んだ検討に向かう。第3の点も第4の点も、それぞれ2段階、ホップ、ステップのあとにジャンプがある。これは、偶然やなりゆきではできない。強い推進力や危機感、周到な設計図が必要だ。第3の点では推進力と危機感、第4の点では設計図があった。

 アクセシビリティの法律は、福祉用具法(1993年)を契機にハートビル法(94年)、交通バリアフリー法(00年)、改正ハートビル法(03年)、バリアフリー法(06年)へ広がった。機器、建物、交通はそろった。むしろ、コミュニケーションの法律がないのは不思議だ。Nothingaboutuswithoutus!(私たちを抜きにして、私たちのことを決めない)を合言葉にした障害者権利条約が、政策の立案に当事者の参加を後押ししている。

 参加することは、責任を担うこと。それには、行政からの(政策)案に適切に反応することや、自らが対案をしめすなどの建設的な対応が求められる。それには議論の積みあげが必要であり、組織的な対応が必要だ。今回の動きは、今後の情報アクセシビリティを変えることになりそうだ。桜がはやく咲いた春からだった、と記憶されることになる。

日本福祉大学客員教授

後藤芳一

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