ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

遠望
遠望182 考える作法 ツキの法則に2つの軸2015年8月20日16時27分

 ここ数ヶ月で2度ほど、め一杯にツキを使わねばならない機会があった。

 ひとつは、ある企業から社外取締役就任を求められた。外の職に就くには、勤めさきである大学からの承認が必要だった。

 筆者が勤める大学はこの種の兼業に厳しく、原則は不可。条件に障らず、かつ、数度の審議を経て、問題ないものだけ実験的に認めるとの規定だ。

 その結果、これまでに大学全体で4例しかなく、しかも特殊な場合だった。

 おまけに大学はモノの決まり方が実業界と違うところがある。正確には、同じところと違うところがある。

 ただ筆者の場合、駄目ではないが難しい、しかも制度の壁とくれば「それを壊すのが使命だろ」と言われたに等しい。最も力を出したくなる状況だ。

 現実は、大学初心の身にはどの部分の手続きが普通と異なるのか見分けがつかない。

 そのため、弾が来る方向として全方位への警戒を要した。

 通常は経験で弾の来る方向が分かる。マズそうな要素は事前に予知して取り除く。スリ抜ける場合も想定して策を用意する。そうしてリスクを抑える。

 特に本件は企業側トップのマターであり、株主や法令上の手続きも関わる。特に今回は改正会社法(5月1日施行)が社外取締役を1名以上、東京証券取引所の指針(6月1日適用)が同2名以上置くことをを求めていて、時間の制約もある。

 同社の担当者は、緻密さと機動力をフル動員し強引とも言える方法で不確実性の完封をめざす人。業界に轟くキレ者だ。

 筆者もどちらかといえば臆病で周到な方だ。キレ者氏のやり方に習って、ふだんはやらない水準まで念を入れた。

 そこまでしても、想定外が生じないか心配だった。知と努力を尽くしても不確実さは残る。

 ここはある意味で人を超える領域だ。理屈や努力ではいかんともしがたい。

 では人を超えれば直ちに神の域か。神の摂理という。人には及びもつかない神の意志だ。

 これを「松」(神の領域)として、人の智恵や努力を「梅」(人の領域)とすると、その間に「竹」(ツキの領域)があるのではないか。

 松は予測や解釈も許されない。一方竹は自身の姿勢が結果に影響を与え、多少のやりとりも効く、人間的なところ。運と言ってもよい。

 ツキへの謙虚さがあれば、自分は幸運/不運ばかりと勝手に解釈したり、それに翻弄されずに済む。

 もう少しレベルが上がればツキの呼吸が分かり、対話ができ、折り合えるようになる。

 流れをひき寄せる、それを離さない、離しても相手にやらないという作戦現場の処方も、ツキの考え方が背景にある。

 なぜ麻雀をやり公営ギャンブルをやるのか。まさにツキとの対話であり、その方法を磨くための修養だ。少なくとも筆者にとってはそうだった。

 さて2つ目、身近な者がこの春の選挙にでた。最後まで分からない情勢だった。

 ここでも「ツキ」が頭をよぎった。こちらの残りの人生のツキを全投入してもよいとさえ思った。

 誤解のないよう、有権者の選択はツキの問題ではない。周りで起きるいろいろなこと、それらが重なって生じる状況や情勢のことを指している。

 多くの要素が関わり、かつ、個々の要素の消長はとても因果関係だけでは説明がつかない。

 2件とも、結果は幸いした。

 1件めは前出のキレ者氏とのタッグで大学側の理解を得た。2件めは、本紙読者を含む多くのお支えを得て辛勝することができた。

 ただ2件ともプラスアルファの僥倖(もしくは不確実性が牙を剥かなかった)があったと思わざるを得ない。

 かくて筆者のツキはこれら2件のために、使い切った気がする。

 一方、ツキは使うと減るが、養生するとよみがえるという性格もあるのではないか。

 これらの2件を通じて新しい視野も経験した。(ツキを)何のために使うかという点だ。

 ここも3段階ではないか。自分のため(X)、他人のため(Y)、社会のため(Z)。歳とともにYやZが重くなる。

 その際のツキの動きは、松や梅と対比した際の竹の動きとは異なるのか。松竹梅をタテ軸、XYZをヨコ軸に整理するとどうか。

 しばらく大きい勝負は休みにするので、その間にいただいた宿題を考えておきたい。

日本福祉大学客員教授

後藤芳一

「遠望」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 【お知らせ】電子版「シルバー産業新聞」
  • シルバー産業新聞申し込み
  • ハンドブック申し込み
  • SSL グローバルサインのサイトシール