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介護保険・行政介護福祉士取得の一元化、再び延期か2019年12月12日16時19分

背景に外国人留学生の急増

 介護福祉士資格の取得プロセスの一元化が再び揺れている。2017年の法改正で、22年度から養成校ルートでも国家試験合格が義務化されることが決まっているが、今年10月の自民党「社会保障制度調査会・介護委員会」で延期が提起された。背景にあるのは、急増する外国人留学生への対応だ。厚労族議員のほか、人材不足に苦しむ介護現場の関係団体からも延期を求める声が強い。

2度延期されてきた一元化

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 介護福祉士の資格取得の一元化はこれまでも延期が繰り返されてきた。介護福祉士の資格取得方法は①実務経験ルート②養成施設ルート③福祉系高校ルート――がある。介護ニーズの多様化・高度化に対応できる資質を担保し、社会的な信頼と評価を高めるため、2007年の法改正で全てのルートに一定の教育プロセスと国家試験義務付けを決めた(図)。

 これにより、それまで卒業をもって資格が付与されていた養成校ルートにおいても、国家試験の受験・合格が求められるようになるはずだった。しかし、人材不足などを背景に実施を2度延期。ようやく16年の法改正で、「17年度から5年間をかけて漸進的に導入する」こととなった。現在、養成校ルートでは試験に不合格や未受験であっても5年間は介護福祉士の資格が与えられる。そして、①卒後5年以内に国家試験に合格②卒業後、5年間連続して実務に従事――のいずれかを満たせば、引き続き資格を保持できる仕組みだ。2つの要件を満たせない場合、6年目以降は「准介護福祉士」の資格が付与される。22年度からは、こうした経過措置をなくし、国家試験合格でもってのみ介護福祉士資格を取得できる。

筆記試験が留学生のハードルに

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 その22年度の完全義務化を延期する声が高まっている。背景にあるのが急増する外国人留学生だ。全体の養成校入学者は年々減少し、4年前に比べて2000人近く減少している(表)。一方で、外国人留学生の数は年々倍増し、15年度は9カ国94人に過ぎなかったのが、今年度は26カ国2037人。実に、4年で20倍。全体の3割を占めるまでになった。ただ留学生にとって日本語の筆記試験のハードルは高い。今年の試験では日本人の養成校卒業見込み者の合格率は90.9%に対し、留学生の合格率は27.4%と大きな差がある。

 人材不足に苦しむ現場、また入学者を確保したい養成校などは国家試験合格の義務化の延期を求めている。そうした声を受けて、自民党内で再延期の可能性についての検討が始まった。一方で、日本介護福祉士会などは予定通りの施行を主張する。政治がどのような最終判断を下すのか注目が集まる。

 

日本介護福祉士会 石本淳也 会長

「予定通り、資格取得の一元化を」

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 介護福祉士の国家資格は介護を必要とする国民を支えるための知識や技術を担保するもの。試験に不合格でも取得できる資格では、質の平準化は図られず、介護福祉士に対する国民からの評価や信用も得ることができない。また今後、そうした資格を志す人が増えるだろうか。

 予定通りに経過措置を終えて、資格取得のプロセスを一元化すべきだ。深刻な人材不足や外国人留学生の低い合格率への対応から延期が必要との主張ももちろん理解できるが、留学生も含めて努力して取得した資格でこそ誇りや自信を持って介護に従事できる。

 またもっと踏み込んでいえば、介護福祉士の役割を制度に明確に位置付けるべきだ。一定以上の介護福祉士の配置を要件とする体制加算などは今もあるが、例えば「配置基準上の介護職員のうち、5人に1人は介護福祉士でなければならない」といったイメージだ。介護福祉士の役割と責任を制度に位置づけることで、社会的評価も向上し、介護福祉士を志す人も増えるだろう。今は資格を持っていてもいなくても同じ業務を行う。いわゆる専門性や役割が不明瞭な「まんじゅう型」であり、国が目指す「富士山型」に近づけるためにも必要な取り組みだ。

 

日本介護福祉士養成施設協会 山田洋輔 事務局次長

「当面は延期が必要」

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 養成校入学者の減少が続く中、外国人の入学者は年々倍増していて、今年度は外国人が全体の3割を占めている。そのうち半数を占めるのがベトナム人で中国、ネパール、フィリピン、インドネシアと続く。外国人留学生がこれほど増加した要因は2017年に新設された在留資格「介護」。留学生として入国、養成校で学び、介護福祉士になれれば介護に従事することで在留が認められる。

 ただ問題として浮かび上がるのが国家試験の合格率の低さだ。今年の介護福祉士試験での養成校卒業見込み者の合格率は日本人で90.9%。それに対して、外国人の卒業見込み者の合格率は27.4%と大きな開きがある。会員施設からは、「日本人の学生よりも優秀な留学生もいるが、そうした学生でも言語の壁が厚くて合格できない」といった声もある。

 外国人で介護福祉士になるのは難しいとなれば、日本での介護を志して来日する留学生が大きく減ってしまう懸念がある。現状を踏まえると、試験合格義務化は延期が必要だろう。決して恒久的な延期や廃止を望むものではないが、留学生の合格率が改善されない当面の間は延期する必要があるというのが当協会の主張だ。

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