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プリズム・社説 「プリズム」 (2012年7月10日号)2012年7月10日09時00分

 大阪府八尾市にある特養「寿光園」。八尾市介護保険事業者連絡協議会の事務局を置き、地域のネットワークづくりにも熱心だ。寿光園はすべて4人部屋だったが、一昨年に定員70人を変えずに新館をつくった。本館の4人部屋は2人部屋と3人部屋に作り替え、空きスペースは利用者のためのフリースペースに。新館には、ユニット型個室から「ユニット型多床室」の4人・3人・2人用の部屋までを作り、どの部屋もゆとりをもたせた。合わせて、ショートステイの定員を6人から19人に増やし、別棟のデイセンターを本館に移した。こうした自由な発想の部屋づくりを公費で行うのは難しく、増築費用は法人自前で用意した。

 移転にあたり、どの部屋を選ぶかは利用者の意向が尊重された。最後まで残ったのがユニット型個室。利用料がネックで、予想していた通りだった、と施設長の福森潔さん(53歳)。やはり、利用料はサービス選択の重要なファクター。併設するグループホームの利用者についても、特養より利用料が高いため、最近は待機者が減ってきたという。一方、19床に増えたショートステイは、家族の入院などによる緊急入所の利用に対応できるようになった。この地域では、特蓑でつくる緊急ショートネットワーク連絡会があり自施設が詰まっている場合には、他施設のショート利用をすすめる仕組みがある。いま日本にある多様な住まいとケアの在り方を、福森さんは「森」と評する。

 「特養は昔からある在来種の大木だとすれば、最近のサービス付き高齢者向け住宅などはいわば外来新種。そこに有料老人ホームやケアハウス、小規模多機能型居宅介護などが、あたかも森を形成するかのようにして混在している。選択肢が増えたのであればよいが、週択肢がありすぎて利用者は森に迷うばかりでいるのかも知れない。肝心の特養の大木さえどこにあるのか分からない」と福森さん。

 森には道案内人がいる。ケアマネジャーであったり、地域包括支援センターだ。しかし、ショッピングセンター内に地域包括支援センターの案内看板を置くなど宣伝に努める八尾市でも、地域包括支援センターの認知度は3割程度にすきない。地域のネットワークづくりに社会福祉協議会の役割は大きいとみる。「地域包括ケアには在宅サービスと施設サービスの両方が必要です。この両者の仲介役が、森を迷わずに歩くのに欠かせないのです」。

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