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プリズム・社説 「プリズム」 (2015年6月10日号)2015年6月10日09時00分

 国民に給付抑制と負担増を求める社会保障制度改革が着実に進みつつある。5月27日に医療保険制度改革関連法が可決成立した。入院時の食事代が16~18年度に段階的に引き上げられて1食460円になる、大病院の受診は紹介状がないと5000円以上の負担を求められる(16年度)、18年には、これまで市町村が所管してきた国民健康保険の運営を都道府県に移す。また、75歳以上の後期高齢者医療制度では、低所得者対象の保険料軽減措置が17年度から段階的に廃止される。

 来年1月には、「社会保障・税番号制度」(マイナンバー制度)も始まる。一人ひとりのサービス受給状況とともに資産状況も把握されて、給付のムダを見いだされ、経済力に応じた負担が求められるようになる。高齢化率26%に達する日本にあって、充実した医療や介護制度をこれまで通りに実施することが難しくなってきている。政府の役割は、財政収支状況を展望して、所得移転による格差是正を基本に、限られた人材や財源を効率的に再分配することだ。痛みを伴う改革には、正しい情報の提供のもとに、議論と納得が欠かせない。

 給付のレベルが下がれば、貧困者はカバーできても、ボーダー雇に軋轢がでる。いやが上にも、物価が上がり、年金は目減りするのに、頼みの社会保障制度も細っていって、年金生活者はどうすればよいのか。医療や介護現場の従事者であれば、アベノミクスの恩恵に取り残される高齢者の日々の現状と、日本の今後の経済状況との間の、深い溝を実感せざるを得ないだろう。

 1カ月もすると、市町村から、65歳以上の介護保険1号被保険者の手元に、利用者負担が1割か2割を表記した算担割合証が届く。8月から、昨年度の収入額が280万円以上の高齢者が2割負担になる。同月に、施設などの居住費や食費を低所得者に補てんする補足給付に、単身者1000万円、夫婦2000万円の資産要件が設けられる。この改革で不当ないじめに合う人がでないようにウォッチしていただくのも、医療や介護の現場の大切な役割だと思う。

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